離婚してしまうと扶養控除できない?手続き方法と注意点を解説
これから離婚を考えている夫婦は、扶養控除の手続き方法や要件を満たしているのか不安に感じるでしょう。専門家に相談する前に、自分でもある程度の知識を持っておきたいと考えている人に、今回の記事はおすすめです。今回の記事では、手続き方法と注意点も紹介するので参考にしてください。
離婚すると扶養控除はどうなる?
まずは用語の定義から見ていきましょう。その後にいくつかの要件を紹介するので参考にしてください。
扶養控除とは
いくつかの要件が示されていますが、要件を満たすことができれば対象となります。
納税者が扶養している人数などに応じて、所得から一定金額が控除される制度を指します。
納税者の扶養家族であることが要件
納税者の配偶者は、配偶者控除というものがあります。血族と姻族の違いを知っておきましょう。
配偶者を除く、6親等内の血族と3親等内の姻族が親族となります。
生計が同一であることが要件
納税者が養っていることが要件となっています。
このときに、同居や別居は問われません。納税者の仕送りで生活している場合は、生計が同一であるとみなされます。
年間の合計所得金額が48万円以下であることが要件
以前は38万円以下であることが要件となっていましたが、現在は年間の合計所得金額が48万円以下と引き上げられているので注意しましょう。給与収入は103万円以下となっています。
事業専従者に該当しないことが要件
納税者が自営業者の場合は注意しましょう。
15歳以上の親族は、納税者と生計を同一にしているので事業専従者となります。
ほかの人の扶養家族や控除対象配偶者でないことが条件
複数人が扶養家族として申告できないようになっています。
未成年の子どもを持つ夫婦が離婚したときは、元夫または元妻のみ申告できるようになっています。
その年の12月31日時点で16歳以上であることが条件
子どもの年齢が16歳未満の場合は、児童手当が適用されます。
子どもの年齢により、扶養控除の対象になるのかどうか違いがあるので知っておきましょう。
扶養控除にできるケース
離婚して別居している場合でも、養育費が支払われているときや、子どもが成人するまでなどの一定の年齢に限定して支払っているときなどは、生計が同一であると認められます。
また、生計が同一であるということを証明するための要件に同居は含まれていません。そのため、別居している状態でも問題ありません。
養育費があれば扶養控除の対象になる?
対象にならない場合があるので紹介します。対象になるためには、毎月仕送りするようにするなど工夫しましょう。
子どもが16歳未満の場合は扶養控除にできない
子どもが16歳未満であれば、児童手当が給付されるようになっています。
養育費を支払っている場合でも、子どもの年齢が16歳未満であれば適用できないので知っておきましょう。
養育費を一括で支払う場合は扶養控除にできない
毎月定期的に支払うケースと、一括で支払うケースがありますが、一括で支払っている場合は、基本的に扶養控除が受けられなくなっています。
扶養が重複した場合は扶養控除にできない
両親とも扶養控除を適用できる場合がありますが、基本的には両親が重複して申告できなくなっています。その理由は、両親のどちらか一方に適用される制度になっているからです。
扶養手続きするうえで注意点
2つの注意点を紹介します。いずれかの方法で所得を得ている場合がほとんどなので、手続きを忘れないようにしましょう。
会社員の場合は、記入方法が分からないときはスタッフに相談できます。個人事業主などの場合は、税務署の職員や専門家に確認しましょう。
年末調整を行う会社員の場合
勤め先から手続きするための書類を受け取れるので、そちらに記入して提出します。
こちらに記入するときは、16歳以上の控除対象扶養親族への記入が必要になります。
16歳以上の別居している子どもが、アルバイトで収入を得ているときは記入しなければいけないので、子どもの所得の見積額などを把握しておきましょう。
定期的に子どもと会う機会が設けられていれば、そのときに確認できます。また、元配偶者と連絡できる状況であれば教えてもらいましょう。
確定申告を行う個人事業主などの場合
個人事業主などは年末調整を行わないので、確定申告のときに手続きを行います。子どもと別居している場合でも記入する必要があるので、子どもの個人番号や住所を把握しておく必要があります。
こちらは、年末調整を行う会社員の場合と同様に、元配偶者や子どもから必要な情報は手に入れておきましょう。記入する用紙は税務署から取り寄せられるので安心してください。ただし、最新の用紙に記入しなければいけないので、年が明けた後に用紙を手に入れましょう。
まとめ
自分では要件を満たしていると思っていても、実際は要件を満たしていなかったという場合があります。自分だけの頭で考えるのではなく、第三者に相談することで正しい知識をインプットしましょう。手続きするときは、実際に取り組んだことがある人や、専門家に相談するとよいでしょう。また、直前になって慌てないようにするために、先行的に準備しておきましょう。