離婚調停とは何?
どんな家庭にも大なり小なり問題はあるものです。一晩経てば解決するものから、根深い問題まで様々あり、結果として解決できずに離婚という選択をすることもあるでしょう。といっても、どちらかが離婚に前向きになれずにこじれたり長期化することも珍しくありません。そんな夫婦にとっての救済措置として離婚調停があります。
意外と知らない裁判所での離婚について
多くの人がイメージする離婚といえば「緑の紙」とも呼ばれる離婚届に記入し、役所に届け出て成立という形が一般的です。夫婦お互いに話し合って離婚するしない、あるいは親権や財産の分配などを自分達で決める方法で、協議離婚ともいわれます。しかしながら、どちらかが離婚したくても「私・俺は離婚したくない」と配偶者に粘られてしまうケースもあるでしょう。
また逆に、離婚の意志が明確であっても、親権や財産の分配についてお互いが納得していない場合に離婚調停が行われます。家庭裁判所によって行われるもので、裁判所でいう裁判官(家事審判官といいます)が1名、裁判員(調停委員といいます)が2名参加して非公開で進められるものです。
もちろん公的な力がある裁判ですから、調停が成立した場合には裁判と同じように効力を持つ判決がくだされるため、離婚や財産分与などあらゆる点でこれに従わなくてはなりません。このように説明すると非常に難しく感じられますが、要は、家庭裁判所に離婚を手伝ってもらい、離婚するかしないかや詳細を決めると覚えておけば良いでしょう。
実際に知っておきたい調停の具体的な流れについて
まず、調停をするのにどれくらいのお金が必要かについては収入印紙などの諸経費に2000円前後、さらに養育費や慰謝料の請求をする場合には手続きそのものに費用がかかります。およそ10000円前後を目安に見ておけばよいでしょう。しかし、弁護士を雇う場合には別途費用が必要になります、さらに高額になるものとみられます。ですが、現在は無料での法律相談を受け付けている法律事務所もありますし、公的な支援サービスを受けられる場合もあるので、費用がないからと言って諦める必要はありません。
次に、実際に調停がどのような流れで進んでいくのかをご説明します。通常、家庭裁判所に申し立てをするところから始まり、戸籍謄本や申立書などの書類を提出するのが第一段階です。調停の日程が決まったら、印鑑や身分証明証などを持って裁判所に向かいます。当日は待機室とよばれる個室で調停の開始を待つことになるでしょう。
その後、調停を申し立てた人から先に呼び出され、調停室と呼ばれる個室に入室することになりますが、中には裁判官と調停委員の計3名が待機しています。調停委員は必ず男女のペアなので、自分と同性ないし異性だけの部屋に入る事はありません。調停室では30分前後の時間が設けられ、離婚を考えたきっかけやそれまでの経緯について説明することになります。終わったら待合室で待機することになるため、通常であれば配偶者と遭遇することはありません。
ですが、洗面所で鉢合わせたり、調停室入退のタイミングで出くわす可能性はゼロではありませんから、不安がある場合には家庭裁判所や弁護士に相談するのも良いでしょう。ちなみに家庭裁判所で聞かれる事項はおおよそ決まっています。離婚の経緯やきっかけなどはもちろんですが、財産分与や親権についての主張はあるか、今後はどのように生活したいかなども聞かれる可能性が高いでしょう。
なお、自分の主張は相手側に伝えられますし、相手側の主張も自分に伝えられます。相手の主張を聞いた上でなにか言いたいことがないか、釈明したいことがないかなど質疑の時間が設けられるのです。この質疑にかかる時間もおよそ30分ほどですから、調停の1回目では最低でも1時間程度は調停室で話すことになるので、心の準備をしておきましょう。
こうした調停が数回行われた後、調停離婚が成立したら調停調書が郵送されます。調停調書というのは調停の結果をまとめたもので、離婚に関する具体的な取り決めが書かれており、法的な効力を持つものです。もちろんこれが届いたら速やかに離婚届を書いて届け出る必要がありますし、届けを出し渋るような場合には罰金が課されることもありますから注意しましょう。
新しいスタートがあなたを待っています
ちなみに、調停で話し合っても埒が明かない場合や、相手が不当に出席を拒んでいるような場合には調停が成立しないと判断されて、離婚裁判へと移行します。と言ってもこうしたケースはあまりなく、一般的には調停で離婚が成立するケースが多いのであまり心配しなくても良いでしょう。
離婚そのものがエネルギーを使うものですから、ましてや調停なんて自分には無理だと思ってしまうかもしれません。たしかに肉体・精神的な疲労も大きいかもしれませんがその先に待っているのはあなたの新しい未来です。勇気を出して一歩踏み出してみたり、不安なことがあればまずは弁護士に相談してみるのもよいのではないでしょうか。
最後にもう一度おさらいしておきましょう。「調停離婚とは、協議離婚が成立しなかった場合家庭裁判所で行われる離婚協議のこと」「手続きや印紙代などにかかる費用は10000円前後」「調停室には裁判官を含め3人がおり、質疑応答は約1時間」「離婚や親権、慰謝料などについて取り決め、成立までにはおよそ半年前後」調停のポイントはこの4点、それほど難しくはありません。これを読んだ方が心身共にリスタートを切れることを願っています。