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共同親権とは?なぜ日本でも導入が検討されているの?

公開日:2025/01/15  

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離婚後に、夫と妻両方で子どもの親権をもつことを、共同親権といいます。共同親権は、日本においても導入が検討されており、採用される未来はそう遠くないかもしれません。そこで今回は、共同親権と従来の単独親権の違いや、なぜ共同親権の導入が検討されているのかを詳しく解説します。

共同親権と単独親権の違い

離婚後、父母のいずれかが子どもの親権をもつことを単独親権といいます。

ここでは、共同親権について、そして単独親権との具体的な違いについて詳しく解説します。

そもそも親権とは?

親権とは、未成年の子どもが社会人になるまで養育する親の権利・義務のことです。

現在の日本では、婚姻期間中は父母の双方に親権がありますが、離婚後はどちらか一方が親権をもつことになります。親権は「身上監護権」と「財産管理権」の2つで構成されています。

身上監護権は子どもの監督保護・養育に関する権利であり、具体的には子どもの居所を指定したり、職業に就くことを許可したり、身分上の行為を代行する権利が含まれるものです。財産管理権は子どもの財産を管理し、財産に関わる法律行為を代行する権利です。

共同親権とは?

共同親権とは、父母の両方が親権をもつ制度です。

共同親権が導入されると、離婚後も父母双方で子どもの監護・養育が可能となります。子どものしつけや居住地、財産の管理など、子どもの生活に関わる事項の決定権が父母双方に平等に与えられます。

具体的には、子どもの住居や進学先などを父母で話し合って決めることになりますが、日常の食事や習い事などは同居している片方の親だけで決めても問題ありません。

共同親権と単独親権の違い

共同親権と単独親権の違いは「子育ての責任を父母の双方で負うか、片方の親のみで負うか」という点にあります。

共同親権であれば、離婚後も父母が揃って子育てに関わることができますが、単独親権の場合は、親権者となる親のみが責任を持って子育てをするため、親権者の負担が大きくなります。また、離婚後も父母の双方が親権を有していれば、子どもは両親の愛情を実感しやすくなるかもしれません。

共同親権を導入するにあたって作成された要綱案では、離婚後の親権は父母の協議で選択できるとされています。つまり、共同親権が導入された後も、単独親権を選ぶことができるということです。

しかし、離婚の理由が配偶者のDVや子どもへの虐待であれば、共同で親権を行使すると子どもに危険が及ぶ可能性があるため、単独親権を維持する場合もあります。

離婚後に共同親権を選んだ場合の親の権利

共同親権を選ぶと、子どもの進学先の決定や手術を受けるとき、パスポートの取得などの際にも両親の合意が必要です。

ただし、日々の食事や習い事などは、一方の親の判断で決めることができます。また、子どもの急な手術やDVからの避難など「急迫の事情」がある場合も、子どもの利益を考えて一方の親のみで判断できます。

共同親権導入がなぜ検討されているのか

共同親権の導入が検討されている背景には、いくつかの重要な理由があります。

養育費の未払い問題の解決

離婚後のトラブルのひとつに養育費の未払いがあり、この問題を解決するために共同親権の導入が検討されています。

単独親権の場合、親権者ではない親が子どもを育てている実感がわきにくく、養育費の支払いが滞りがちです。一方、共同親権であれば、離れて暮らす親も子どもを育てる責任を自覚し、養育費の未払いを防げる可能性があります。

離婚後の面会交流の問題

離婚後の面会交流が行われない問題も共同親権導入の理由のひとつです。

単独親権の場合、親権者の許可を得ないとわが子に会えない場合が多いですが、共同親権であれば双方が親権者となり、一方の親が面会交流を拒むことができなくなります。

面会交流は子どもの福祉にもつながり、子どもが健やかに成長するために重要です。したがって、共同親権の導入が検討されているのです。

国際的な動向と対応

多くの国が離婚後の共同親権を認めていることも背景にあります。

国際離婚の際、法制度の違いが争いの原因となることがあり、国際的な整合性を保つためにも共同親権の導入が必要とされています。また「子どもの連れ去り」問題への対応も重要です。

日本は2014年にハーグ条約を締結し、16歳未満の子どもを居住地から連れ去った場合は元の居住地へ返還することを義務付けています。しかしEU議会は日本の返還率の低さを指摘しています。

これを受けて、日本とEU諸国の法制度の違いを是正する目的も含んで、共同親権の導入が検討されているのです。

共同親権を導入することによるメリットとデメリット

共同親権の導入には、いくつかの重要なメリットとデメリットがあります。

メリット

まず、共同親権では、両方の親に子育ての義務と責任があるため、親権者にのみ負担がかかることが少なくなります。

双方の親が進学先などを決める際にアドバイスや経済的な支援を提供でき、子どもも日常的に両親と関わる実感がわきやすくなります。また、共同親権が認められることで、離れて暮らす親も自発的に養育費を支払うメリットが期待できるでしょう。

共同親権制度の導入により、両親が子どもの養育に関わることで、親としての責任感が高まり、養育費の支払いに前向きになる親が増える可能性があります。

さらに、共同親権が導入されれば、両親が親権者となるため、同居している親は面会交流を断ることができなくなり、離婚後も子どもが両親どちらにも会える可能性が高まります。

また、離婚後も子どもの生活に父母が密接かつ子どもが両親の存在を身近に感じられるため、離れて暮らす親に会いやすい環境が整うことも期待できるでしょう。

最後のメリットとして、共同親権であれば両親ともに親権をもつため離婚時の争いを回避しやすくなり、離婚問題の早期解決が期待できます。

共同親権を導入するデメリット・懸念点

まず、片方の親が遠方に住んでいる場合に面会交流のたびに子どもが長距離を移動する必要があり、これが子どもの負担になる可能性があります。

また、元配偶者がDVやモラハラの加害者であっても、子どもの進学や医療、引っ越しなどに関して元配偶者の許可を得なければなりません。このことから、元配偶者の支配から逃れられなくなる可能性が懸念されます。

さらに。共同親権では子どもの教育方針を両親揃って決める必要がありますが、方針が食い違うと意思決定に時間がかかるため、子どもが混乱しストレスを感じるかもしれません。最後に、共同親権が導入されると、定期的な面会交流を行うために親同士が近くに住む方が都合がよくなります。

同居している親の転勤や実家の近くで暮らす希望があっても、面会交流を考慮すると遠方への引っ越しが難しくなる可能性があります。

まとめ

共同親権とは、離婚後も両親が共に子どもの親権をもつ制度です。日本でも導入が検討されており、主なメリットは両親が子育てに関わりやすくなり、養育費の未払い防止や面会交流がスムーズになる点です。しかし、遠距離面会の負担やDV被害者の懸念、親同士の対立による意思決定の遅れなどのデメリットもあります。国際的な動向や養育費未払い問題の解決を背景に、共同親権の導入が検討されています。

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