借金が原因で離婚はあり?慰謝料は請求できる?
配偶者が借金を抱えてしまったことで、生活を脅かす事態になってしまうと、離婚を考えるのは致し方ないことでしょう。しかし借金を理由に離婚するのは認められているのか、また仮に離婚できるとしても、慰謝料をもらえるのかといった問題が浮上してきます。
ここでは、借金を理由とした離婚の成立の可否と、離婚時の慰謝料問題の疑問についてお答えしますので、配偶者の借金にお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。
借金は離婚原因として成立する
借金を理由に離婚できるかは、離婚方法次第です。協議離婚の場合だと、双方が納得して離婚届を提出することで、離婚が成立するでしょう。
ですが、一方が離婚に反対している場合だと、ただの話し合いによる解決を試みるのは困難と言えます。そのような場合は、家庭裁判所にて離婚調停を申し立てたうえで、離婚にこぎつけられるように議論をすることとなるでしょう。
離婚の調停が不成立となってしまうと、離婚訴訟の申し立てをします。離婚裁判は、法律で定められる「法廷離婚事由」という、離婚の理由を述べなければなりません。
離婚が認められる法廷離婚事由は、不貞行為や悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復が見込まれない強度の精神病、婚姻を継続しがたい重大な事由、といった5つの項目になっています。借金を理由とするならば、やはり5つめの「婚姻を継続しがたい重要な事由」が当てはまるでしょう。
また、借金が原因で離婚が認められる事例で多いものは、浪費、ギャンブル、風俗通い、浮気相手との付き合いでの出費といったものです。ほかにも、借金取りの嫌がらせや、注意しても借金グセが直らないといったことも離婚を認めるには十分な理由だと考えられます。
借金を理由とした離婚をするために証拠をそろえよう
借金を理由とした離婚が認められることは、可能ではあるものの、確実に離婚するためには、単純に借金があるというだけでは、離婚が認められないケーがあるので注意しましょう。つまり、その借金がどれだけ婚姻関係を著しく困難にしているかを、証明しなければならないのです。
そのため調停や訴訟において、通帳のコピーや配偶者の給与明細、クレジットカードの利用明細、家計簿などの収支記録を証拠として用意してください。配偶者から同意を得られるようなら、信用情報機関に信用情報の開示請求を求めることも可能でしょう。
信用情報とは、クレジットカードやローンといった申し込みや契約についての情報です。本人を識別する情報をはじめ、クレジットカードの申し込み、契約に関する内容や、支払い状況、残高といった要素で構成されており、まさに信用についての情報が集約されていることが伺えるでしょう。
その信用情報の開示請求は、指定信用情報機関(CIC)、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(JBA)、銀行やクレジットカード会社の面々が加盟しています。開示請求は、チェックしたい銀行名やクレジットカード会社名、個人信用情報機関などで、これらは、信用性の高い物的証拠として書面にて郵送してもらうようにしましょう。
借金が理由の離婚で慰謝料の請求は認められるか?
借金が理由による離婚自体も可能ではありますが、実は慰謝料を請求することも、理由次第では可能です。離婚における慰謝料は、精神的苦痛を受けたことへの賠償金を意味するものです。借金により婚姻生活が脅かされ、精神的に追い詰められてしまったようであれば、配偶者への慰謝料の請求自体は、原則として可能でしょう。
ただし、配偶者が慰謝料の支払いに応じてくれるのであれば、裁判申し立てまで行かずとも支払ってもらうことはできますが、現実的に支払い能力があるかとなると、話は変わってきます。
もし裁判の結果、慰謝料の支払いが認められたとしても、配偶者が財産を保有していなければ、差し押さえは不可能となりますし、最悪の場合、自己破産されてしまうと慰謝料は免責されてしまうでしょう。
そのため、慰謝料を請求するという行為自体は可能でも、実際に慰謝料の希望額を得られるかについては、現実的ではないという見方となってしまうのは否めません。
このような事態が起こることも見越して、あらかじめ離婚弁護士に相談しておくことも検討してください。少しでも不利な状況を避けることを考えたら、離婚弁護士のアドバイスは、非常に有効なものとなるでしょう。
まとめ
借金が原因となる離婚はありなのか、そして慰謝料の請求は可能なのか、という疑問は晴らせましたか?
少なくとも、配偶者が借金を真摯に返済する、殊勝な態度が見えない限りは、添い遂げる義理も湧かないでしょう。しかし、離婚自体は協議離婚が難しければ、証拠さえあれば可能ではありますが、慰謝料をもらうとなると、請求だけしかできない懸念があるので、なかなかシビアな現実が待っていそうです。
弁護士事務所は無料相談も実施しており、配偶者の借金事情のことで途方に暮れている、金銭的に余裕のない方にとっても、大きな手助けとなるでしょう。