弁護士に離婚相談をする前に考えておきたいこと
離婚の際には財産に関すること、子どもの養育に関わることなど決めなければならないことが多くあります。その話し合いをスムーズかつ依頼者の有利になるように進める役割を担うのが弁護士ですが、相談する前に考えておきたいことがあります。
離婚したいと思う理由を明確にする
弁護士に相談する際には、相談料という費用が発生します。大体、30分から1時間単位で料金が設定されていることが少なくありません。弁護士事務所などでは初回の相談に限り無料となっているところも多くあります。この際には効率的に話をしないと、ただ話を聞いてもらうだけで終わってしまうことがあります。時間には限りがあるので、できるだけ要点を整理しておくことが大切です。
弁護士は離婚など法律の専門家ではありますが、情報が少なければ有益なアドバイスをすることはできません。ですから相談する前に考えておきたいことには、まず離婚をしたい理由と夫婦の関係を改善する余地はないのかということです。
配偶者の浮気や不倫などはっきりした原因がある場合もありますが、長年のモラハラや性格の不一致といった問題は周りに理解してもらえないことも少なくありません。本人でさえ問題点を自覚していないこともあります。結婚生活を送る上で何が一番嫌だったのかを考えることは、問題をきちんと理解して次へ進むステップになります。
お互いの価値観が多少違っても仲よくやっていける夫婦もいますから、離婚したいと思った根本的な原因を自分なりに探ってみることは大切です。それにより、自分が一番大切にしたいものは何かも見えてくるので、新しい生活をイメージしやすくなります。場合によっては離婚を選択しなくても、夫婦仲を改善できることもあります。
資産状況を明らかにしておくことが大切
離婚の際には、今ある資産の状況や夫婦の年収などお金に関することを明らかにしておくことが大切です。財産分与や慰謝料、養育費など決めるべきことはたくさんあります。
財産分与に関しては、預貯金など分けやすいものはよいでしょうが、住宅などの不動産がトラブルの種になることが多くあります。マイホームを購入するために住宅ローンを利用していることがほとんどで、共働きだったりすると夫婦の共有名義になっていることもあるでしょう。
住宅ローンのようなマイナスの資産も財産分与の対象となります。購入した住宅に誰が住むのか、あるいは売却するのかといった問題で揉めることも珍しくありません。そのため弁護士に相談する際には、ローンを含めた資産をあらかじめ整理しておく必要があります。
収入に関しても養育費を決める基準となるので、どれだけの収入があるか正確に把握しておくようにしましょう。フリーランスなど収入に波がある場合には、それも考慮する必要があります。養育費は子どもの権利なので、親が勝手に放棄したり養育費を出し渋ったりするのは望ましくありません。収入に見合った養育費をきちんと受け取ることが、子どもの生活の安定にもつながります。
財産分与に関しては、その財産が独身時代に築いたものなのか、結婚している時に築いたものなのかによって扱いが変わってきます。結婚前に築いた財産であれば財産分与の対象にはなりません。
相手に望むことをはっきりさせておく
離婚する際には、配偶者に対して望むことを明確にしておくようにしましょう。子どもがいる家庭の場合には、親権争いに発展することも少なくありません。親権をとりたい、親権は持たなくても定期的に面会したいといった希望を持つ人も多くいます。
しかし、夫婦仲がこじれてしまうと冷静な話し合いができなくなることも多くあります。親権を巡って争った結果、親権を持たない親が面会を拒否されるといったことも起こっています。自分が親権をとりたいのか、相手に譲ってもいいと思っているのかをはっきりさせておく必要があります。
面会に関しても、面会交流をどの程度の頻度で行うことを希望しているのか明確にするようにしましょう。転勤などがあり、東京を離れて地方に住むといった場合もあります。引越しなどをする場合に面会交流をどうするのかといったことについても考えておかなければなりません。
離婚について弁護士に相談する場合には、譲れない条件に優先順位をつけて相談するのがおすすめです。親権をとりたいとか週に1回は面会したい、今住んでいる家を財産分与として欲しい、不倫した慰謝料を支払わせたいなどいろいろあります。
それに加えて、妥協してもよい条件についても考えておくといいかもしれません。すべて納得のいく条件で折り合うことは難しいですが、優先順位の高い条件を満たすことで今後の生活も前向きに送れます。
東京にはさまざまな弁護士事務所や法律事務所があり、離婚に関するあらゆる問題を相談できます。しかし、時間が限られているので効率的に話をすることが大切です。今の資産状況や年収といった経済面について明確にしておいたり、自分が相手に望むことをはっきりさせておいたりしておくことが重要になります。