離婚前に別居する意味について。必要な準備も合わせて解説!
離婚を視野に入れながら、まずは別居をしたいと考えている方もいらっしゃると思います。今回は、離婚前に別居をすることに意味やメリットがあるのかについて解説します。また別居を決めたら何を準備すべきかについても解説していますので、参考にしていただけると幸いです。
離婚前に別居する意味とは?
すぐに離婚せず、離婚前に別居をすることに、どんな意味があるのでしょうか。法律的な面から、離婚前の別居が持つ意味について見ていきましょう。
■別居は法的離婚理由になる可能性がある
夫婦の話し合いで離婚が決まらず、調停でも離婚の合意が得られなかった場合、離婚裁判をすることになります。離婚裁判で離婚を認めてもらうには、「法的離婚事由」という法的に定められた離婚の理由が必要です。民法第770条に法定離婚事由が5つ挙げられていますが、そのうちの1つ「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に別居が該当するケースがあります。別居期間があれば必ず法的離婚事由になるというわけではありません。
別居期間の長さ、婚姻期間のなかで別居期間がどのくらいの割合を占めているのか、などのさまざまな要因によって法的離婚事由とされるかどうかが決まってきます。一般的に、5~10年の別居期間であれば離婚理由として認められる場合も多いです。最近では3~5年でも法的離婚事由として認められるケースもあります。
離婚前に別居するメリット
■離婚できる可能性が高くなる
先にも述べたとおり、別居が離婚裁判のときに法的離婚事由として認められるケースがあります。また別居をすることで、自分が離婚したいという強い意志を持っていることを相手に伝えられます。そのため相手が離婚について現実的に考えてくれ、離婚の合意がとりやすい可能性もあります。
■同居のストレスから解放される
相手と一緒に住んでいることが精神的ストレスになっていれば、別居することでそのストレスから解放されます。また、配偶者のDVなどを受けている場合は、可能であれば一刻も早く配偶者から離れた方が良いでしょう。
くわえて、別居をすることで、このようなストレス源から離れることができれば、自分の思考を落ち着いて整理することもできます。その結果、自分の考えを相手に冷静に伝えることができたり、離婚の準備を進めることもできるでしょう。
離婚前に別居するデメリット
■相手が別居中に財産を隠す可能性がある
離婚の際、財産分与と言って、婚姻期間中に夫婦でつくった財産を分配することができます。しかし、離婚が目先に見えてくると、別居中に相手が財産分与の対象になる財産を隠すことも考えられます。例えば、財産分与の対象になるはずだった預貯金を、隠し口座に移し替えられたりする可能性もあります。
また、離婚理由が相手にある場合、別居中にその証拠となるものを隠されることも考えられます。そうすると、離婚調停や裁判になった際、自分の主張が通りにくくなり、不利な状況に立たされる可能性もあります。
■経済的に厳しくなる
例えば別居にあたりアパートを借りるなど、同居のときより出費が多く経済的に厳しくなることもあるかと思います。別居中は、婚姻費用という生活費のようなものを相手に請求することもできますが、今までと同じ生活ができるほどの金額を請求できない可能性もあります。また、離婚の原因を作ったのが自分であれば、婚姻費用の請求は認められないことが多いです。
別居するのに必要な準備
別居をすると決めたら、その前にどんな準備をしておけばよいかを確認しておきましょう。
■別居の同意をとっておく
夫婦には同居や扶助の義務があります。そのため、もし話し合いをせず勝手に家を出た場合、同居義務の放棄と見なされることがあります。これを「悪意の遺棄」といい、法的離婚事由に含まれます。
つまり、同意なしに別居をした場合、相手が離婚請求をすることができ、自分が不利な状況に立たされる可能性があるということです。話し合いができる状況であれば、相手に別居の同意をとっておくようにしましょう。
■財産を把握しておく
別居中に相手が財産分与の対象である財産を隠す可能性があるので、別居する前に財産について把握しておきましょう。どの口座にいくら預貯金があるか、住宅ローンの残高はどのくらいかなど、見ておくとよいでしょう。
■証拠を確保しておく
相手に離婚に至る原因があった場合、財産と同じく、相手にその証拠となるものを別居中に隠される可能性があります。写真やメール、レシートなど、証拠となるものは別居する前に確保しておきましょう。
■生活費のシミュレーション
収入が変わるのであれば、毎月の収支を予想し、生計が立てられるかどうかを確認しておくことも必要です。別居中は、相手に婚姻費用を請求できることもありますので、それも計算に入れておくと良いでしょう。
婚姻費用は、夫婦双方の収入などをもとに「婚姻費用算定表」に従って算出されます。また、離婚後は相手に婚姻費用(生活費)を請求することはできません。そのため、離婚を前提としているならば、離婚後に経済的に自立できるかどうかを考えておくことも必要です。
■子どもの生活環境を整えておく
子どもを連れて別居する場合は、子どもの養育環境のことを考える必要があります。子どもの転校が必要になるのか、職場を変える場合、子どもを預けられる保育所はあるのかなど、しっかり調べて準備しておきましょう。
離婚前の別居には、法的な離婚理由として認められる可能性があるという大きな意味があることがわかりました。しかし、別居前の準備を怠ると、反対に自分が不利な状況に立たされることもあります。もし別居を決意したならば、相手に同意をとったり、財産について確認しておくなど、しっかり準備をして実行に移しましょう。