周囲に証明しづらいモラハラの闇とは
「モラルハラスメント」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。略してモラハラとも呼ばれ、家庭内や会社内などのあらゆる社会の中で起こる可能性があります。この記事ではモラハラの意味やモラハラ行為をする人の特徴、モラハラが原因で離婚するケース、離婚手続きの際の苦労などについて解説します。
モラハラとは?モラハラ行為をする人の特徴
「モラハラ」という言葉をよく耳にしますが、具体的にどういう意味なのでしょうか?また、モラハラ行為をする人にはどのような特徴があるのでしょうか?
■諸外国でのモラハラの定義
厚生労働省では「職場のいじめ・嫌がらせに関する諸外国の取り組み」にて、諸外国のモラルハラスメントの定義や対策などを公開しています。主に労働者の権利と尊厳を守ることを目的として書かれていますが、各国の定義の欄を読むと「身体的若しくは精神的健康を損なわしめる」「精神的ハラスメントの反復した行為」「人格、尊厳あるいや肉体的、心理的な統合性を損なうことを目的とする」などとあります。
諸外国でのモラハラの定義をご紹介しましたが、これだけではイメージしにくい部分もありますので、具体的な例を挙げて説明します。たとえば「大声で怒鳴る」「友人との付き合いを制限して、電話やメール、SNSなどで関わった他人との動向をチェックする」「人前で侮辱する」「無視をしてコミュニケーションを途絶させる」「生活費を渡さない」などです。これらが反復して行われればモラハラとなります。
■モラハラをする人の特徴
人によっては交際中には気づかず、結婚後にモラハラ行為が行われる場合があります。モラハラ行為をする人は「強いこだわりを持っている」「自己愛が強い」「外面がよい」「価値観や自分のやり方を押し付ける」「嫉妬深い」など、さまざまな特徴があります。
「もしかしてモラハラ?」と思ったのなら周囲の人に相談してみましょう。もしも「行動を制限されていて身動きが取れない」のであれば、それはモラハラ・DVです。
モラハラが原因で離婚するケースは多い
度重なる身体的・精神的な攻撃により離婚するケースは多いです。令和2年度の司法統計では女性の離婚理由2位が1万4,087件で「生活費を渡さない」、3位が1万2,358件で「精神的に虐待する」、4位が1万459件で「暴力をふるう」でした。男性の離婚理由でも3位が3,590件で「精神的に虐待する」、8位が1,535件で「暴力をふるう」となり、男女関係なくモラハラ行為が行われる可能性があるようです。
件数から分かるように女性(妻)からの申し立てが多いことから、女性が被害に遭いやすいと考えられます。しかし、申し立てをしていないだけで「力の弱い女性に身体的・精神的暴力を受けていると言いづらい」と抵抗がある男性もいるかもしれません。
モラハラ離婚は苦労する?
モラハラをしているときは高圧的な態度ですが、いざ離婚を切り出すと態度を変わります。「もうしないから許してくれ」「愛してるから別れたくない」と許しを得ようとしたり、「お前の都合で離婚するのだから慰謝料を請求する」「養育費を払わないぞ」とさらに威圧したりします。今まで配偶者を傷つけてきたのにも関わらず、「離婚したくない」という理由はなぜでしょうか?
■相手が実際に行動すると思っていないので戸惑う
日常的にモラハラをしている人は、「相手が何も言い返さない」「自分は何をしても許される立場にある」と思っていることもあります。しかし、離婚を切り出される、別居して1人になるなど想定外のことが起こってしまうと、戸惑って必死に離婚を考え直すように説得をします。
■間違っていることをしているとは思っていない
「家事が完璧にできていないのだから当然」「低学歴だからバカにされて当然」などと配偶者をバカにして他人の前で侮辱したり、外ではよい夫(妻)を演じて家庭内では罵倒するケースも想定できます。しかし、モラハラ行為をしている本人は悪いことだと思っていない場合もあるのです。したがって、離婚する理由に該当しないといい張り、手続きが進まず難航する場合もありえます。
■プライドや世間体を優先する
プライドが高い人は「自分が他人から拒否されていると認めたくない」という気持ちがあります。とくに仕事や何かの活動である程度の社会的地位を築いていれば、なおさら認めたくないでしょう。
「離婚」というのは世間的にも悪いイメージがありますので、うしろ指をさされたくないという気持ちでいっぱいなのです。そのため離婚を認めず、長期間にわたる話し合いや、話し合いに参加しないなどの問題が起こり、完全に縁を切るまで苦労するでしょう。
まとめ
モラハラの意味やモラハラ行為をする人の特徴、モラハラを理由にした離婚手続きの苦労を紹介しました。モラハラをする人は、他人の人格を否定したり人前で侮辱したりする行為を繰り返し行う最低な人間と他人から認識されます。自分はそんな最低な人間ではないといい張り、離婚の手続きが進まないかもしれません。そのようなときは他人の意見や公的機関が定義したモラハラについて話し、理解させるのもひとつの手かもしれません。