離婚を後悔する原因とは?
離婚を決意し、東京の弁護士事務所を訪れる人は、男女問わず多数いらっしゃいます。ただ気になるのは、そうして離婚が成立した後に後悔する人がどれくらいいるのかという点です。
環境や条件は人それぞれですから、もちろん一概に言えませんが、果たして後から悔やむ場合、どのような原因が考えられるのか掘り下げます。
一般的に多いとされる悔やむ原因を紹介
離婚を後悔する原因の中で、最も多いとされているものが経済的な負担の増加です。
例えば世帯収入の多くを相手側が担っていた場合、別れた後は収入の多くを失うことになるため、生活が少なからず苦しくなることは避けられないでしょう。女性の場合は子供がいると経済的負担をダイレクトに感じるケースがありますが、男性側も養育費を支払う義務が発生するため負担増は変わりません。
生活が別になると共に暮らすよりも費用がかかるため、今までよりも生活レベルが下がったり、出費が苦しいと感じる月が出たりすることで悔やむ気持ちになっても不思議ではないでしょう。別れた理由にもよりますが、もし我慢できる可能性が少しでもあったとした場合なら、もしかしたら早まったと感じるかもしれません。
次に挙げられるのが、時間を置いたことで気持ちが整理され、冷静に考えられるようになったという理由です。ただこれは、今まさに別れたいと考えている人にはなかなか理解できない気持ちかもしれません。できるだけ早く別れたいと希望していたのに、実際に離れてみると、もしかしたらほかの選択肢もあったのかもしれないという気持ちになる場合もあります。
とくに浮気などで怒りのまま一方的に手続きを済ませてしまったような場合には、もう少し話し合いの時間を持ってもよかったと考えることもあるでしょう。良い関係だったころを思い出したり、冷静に相手を分析できる気持ちの余裕が生まれることも、考え直す理由になります。
そして、世間的に肩身が狭く感じるという理由も少なくありません。日本でも離婚は珍しくなくなり、大昔のような生き辛さはないのですが、それでも自分で心理的に負い目を感じてしまう人はいます。住んでいた家を出て実家に身を寄せたりすると、なおさら感じるかもしれません。子供がいる場合、子供が不自由を感じるのではと考える人もいるでしょう。
反省や寂しさが理由になるケースも多い
別れたときから年齢を重ねることで、後々になって考え直す人も少なくありません。例えばとても若い夫婦がうまく行かずに別れた場合、年を経てから、当時の相手の気持ちが理解できるようになるということもあります。
コミュニケーション不足で相手を思いやることができなかったと反省したり、自分がなにか間違っていたと気づいたりするかもしれません。相手に求めるばかりで自分の努力が足りなかったのでは、という反省が後悔となって表れるケースもあります。自分が浮気をしてしまったケースでは、素直に自分の行為を反省し、さまざまを後悔することもあるでしょう。
そして、幸せそうな家族連れを目にしたときに、切なくやるせない気持ちがこみあげて来ることが大きな原因となる場合もあります。再婚しないまま徐々に年齢を重ねて行くと、子供を持つのが難しい年齢に近づいていくことになります。寂しさや焦りから後悔を感じることがあっても無理のないことです。
後悔しないためには感情だけで決断をしないこと
難しいことではありますが、後悔しない離婚をするためには、そのときの感情だけで決断をしないことが重要です。後々冷静になって考えたら、ほかの解決策があったというケースも少なくありません。少なくとも、相手に激高してそのままの勢いで手続きをしてしまうようなことは、おすすめできる行為ではないです。
ただ、腹に据えかねた状況で我慢を続けることはできないというのも、人間ですからもっともです。重要なのはとにかく落ち着くのを待って冷静に話し合いの場を持つことですから、もし顔も見たくないというのであれば、別居を考えるのもひとつの手段です。
役所に書類を提出するのは最後の最後ですから、まずは別居してお互いに考えてみるというのも良いステップです。実際に、別居期間を経て話し合いを重ね、復縁する夫婦も少なくありません。十分に話し合いをしたうえで、やはり人生一緒には送れないという結論が出た場合には、離婚後に後悔もないでしょう。
完全に離婚が成立した後に同じ人と再婚するというケースも実は意外にありますが、手続きひとつの問題なら、できるだけ冷却期間を設けてから判断するのがおすすめです。ちなみに、別れた元の配偶者から復縁を持ち掛けられた場合は、お互いの経済状況を確認することが重要です。
お互いすっかり自立している状態なら復縁してもうまく行くことが多いですが、単に生活苦から逃れるためだと、また失敗する確率が高いと言われます。結婚は単なる経済的依存ではないと理解できるなら良いですが、いずれにしても相応の年月が必要なのが一般的です。
寂しさや肩身の狭さだけでやり直しても、同じ結果に陥る可能性がありますのでそこは認識しておきましょう。また冷静に判断するために、カウンセラーなどに相談するのもひとつの方法です。やり直す努力ができない理由に納得したとき、悔いのない選択ができるでしょう。
離婚後に後悔する原因は、経済的負担の増加や冷静な判断、寂しさや世間体など実にさまざまです。とても一概に言えませんが、ひとつだけ言えることは、その場の感情にまかせて勢いで手続きをしてしまわないことです。
どうしても相手と一緒にいたくないなら、一度別居して冷却期間を持つという方法もあります。お互いに時間をかけて話し合い、どうしても相手と生活を立て直す努力ができない理由に自分で納得できれば、悔いのない選択ができるでしょう。