マザコン夫にはもううんざり!慰謝料を請求して離婚はできる?
もしも夫が極度のマザコンだった場合、ストレスをかかえる場面が多くなるでしょう。夫婦や家族で話し合って決める事柄も、常に母親に意見を求め、母親の意見に肩をもつような状況では、夫と信頼関係を築くことは難しく、離婚も検討する機会になるかもしれません。マザコンを理由に慰謝料請求をして離婚することは可能なのかどうか、解説します。
マザコン夫の特徴
マザーコンプレックス、通称マザコンは、昭和40年代には世間一般で使われており、すでに認知されていた言葉です。母親への依存が強いという意味で使われる言葉ですが、大人となり、妻帯者となっても、精神的な自立ができず、いつまでも母親に固執するのがマザコン夫の特徴といえるでしょう。マザコン夫の具体的な特徴をまとめました。
妻や家族の意見よりも母親の意見を尊重する
母親の意見を信頼しきっているため、何かあればまずは母親に相談し、母親の意見がそのまま自分の意見になりがちで、自分で物事を決められない点が目立つといえます。妻や家族の意見よりも、母親の意見を優先して尊重し、さも自分の意見のように強要してくるようでは、頼りがいがなく感じてしまうのも当然といえます。
母親を信じ切っており、客観的な判断ができない
客観的に見た際に、たとえ母親の言動がおかしいと思っても、母親を信じ切っているため、母親の意向に沿う形で自身も行動しがちです。もし母親がだまされていたり、悪いことを行っていたりしても、母親を信頼し、肩を持ってしまいます。そのため、場合によっては非常に危険な状況に遭遇してしまう可能性もあるので、細心の注意を払ったほうがよいでしょう。
母親と妻を比較する
マザコン夫が理想としている女性の姿は母親です。そのため、料理や家事などの面で妻と母親を比較します。家庭環境のすべてを母親と比較されるのは、妻にとっては非常にストレスがたまることでしょう。会話の内容も、「母親ならこういうだろう」「このような行動を取るだろう」など、何かと母親を引き合いに出して考える特徴があります。
夫のマザコンが原因で離婚は可能?
結論からいえば、離婚はできます。しかし、かなりの難航が予想されます。理由としては、そもそも離婚するには夫婦同士で協議をする、いわゆる協議離婚が一般的です。夫婦のどちらかが離婚したいという意思を相手に伝え、相手が同意すれば離婚は成立します。
理由はさほど関係がなく、同意するかどうかという点が肝となるのです。しかし、マザコンが理由の際は、夫にその自覚がなく、母親を優先することに疑問を感じていないケースが多く、協議離婚で同意をしないことが多いのです。同意をするかどうかは別問題なので、話し合いは難航するということは押さえておきましょう。
夫のマザコンによる離婚で慰謝料は請求できる?
夫のDVやモラハラなど、精神的苦痛をあたえる不法行為は一切なく、離婚の理由がマザコンだからという点だけでは、慰謝料の請求はできても支払いを強制することはできません。さらに、マザコンは法定離婚原因として認められていないこともあり、離婚裁判を起こすこともできないのです。
結論として、慰謝料請求はできても、相手から払われない可能性も高く、訴訟すら起こすことができないため、原則的には慰謝料はもらえないと理解しておくとよいでしょう。しかし、明らかに度を越えているようなケースの際は重大な離婚事由に該当する場合があります。
例として、妻の料理を食べずに母親の料理ばかり食べる、母親の寝室で一緒に寝る、身の回りの世話を母親が行う、など、夫婦が協力して生活を行うという前提の中に、母親が入り込むケースが多すぎると、夫婦の信頼関係が築けず、婚姻関係を続けることができないという主張となり、慰謝料請求ができるケースもあります。慰謝料の請求を考える場合は、いざというときに提示できるよう、事実や証拠を記録しておくとよいかもしれません。
マザコン夫との離婚するときの流れ
離婚の流れは、まず夫婦で話し合う協議離婚を行い、双方の同意を得られなければ離婚調停を行います。調停委員に入ってもらい、離婚の話し合いを進めていく形となります。離婚調停を行っても双方の合意がなければ、最終手段である離婚裁判です。離婚裁判を起こすには法定離婚原因が必要となりますが、マザコン自体は法定離婚原因に当たらないため、裁判を起こすこと自体、簡単ではありません。
法定離婚原因は、配偶者に不貞な行為があったとき、配偶者から悪意で遺棄されたとき、配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、そのほか婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、の5点が該当します。
そのほか婚姻を継続し難い重大な自由として、マザコンが理由で夫婦関係が破綻したという事実や証拠を記録しておけば、裁判を有利に進められるかもしれません。どうしても離婚したい場合は、客観的な目線で夫婦関係が破綻した要因を、事実を用いて説明できるようにしておくとよいでしょう。
まとめ
夫のマザコン度合いが強いと、夫婦関係を続けられないほどのストレスを感じることでしょう。マザコンが理由で離婚をしたくても、相手の同意を得られにくく、協議離婚の時点で難航することが一般的です。離婚調停から離婚裁判に至っても法定離婚原因がなければ離婚が認められず、慰謝料の請求もできないかもしれません。夫婦生活の中で、法定離婚原因となりそうな度を越えたマザコンエピソードがあれば、事実として記録し、残しておくことで、裁判を有利に進めることができるかもしれないので、離婚を決意した際は自分が有利になるよう、淡々と準備をすすめておくとよいでしょう。