離婚の決め手となる原因とは何?
離婚の決め手となる原因について、裁判所が平成29年の調査結果を公表しています。内容はあくまでも調停を申し立てたケースに限られますので、弁護士などを立てて当事者同士で協議した内容は含まれませんが、参考にすることはできるでしょう。
これから東京の弁護士事務所へ相談を検討している人は、一読してみてはいかがでしょうか。
全家庭裁判所が公表する離婚の決め手を紹介
それではさっそく公表された内容をまとめてみましょう。1位は、男女ともに「性格が合わない」ことが挙げられています。2位は男性が「精神的虐待」、女性が「生活費を渡さない」、3位は男性がその他、女性が「精神的虐待」です。
異性関係が3位の中に入って来ないのは特筆できますが、4位に男性が「異性関係」、女性が「暴力」となっています。5位は男性が「家族親族と折り合いが悪い」、女性が「異性関係」を挙げています。その後は「性的不調和」「浪費」「同居に応じない」といった内容があり、女性の8位には「家庭を捨てて省みない」が入っています。
ただ、数が圧倒的に多くケタ違いなのが男女ともに性格の不一致であり、他人同士が共に人生を過ごすことの難しさを明示する結果となりました。一般的に考えれば、生まれも育ちも違う男女で性格がピッタリとマッチすることのほうが少ないでしょう。ある程度は致し方ないことですし、結婚当初はそれも承知でお互いにリスペクトできていたはずです。
生活は2人の協力が必要不可欠ですが、日々を過ごすうちに齟齬が大きくなってしまった結果と言えます。交際中は意見の相違も刺激的で楽しいかもしれませんが、共に生きると決めた以上は、いつでも2人一緒に問題解決に努める覚悟が必要だということです。
注目は男性2位の精神的虐待です。モラハラという言葉も一時ブームになりましたが、実際には男性より女性のほうが強くなったということでしょうか。同時に男性9位に「女性からの暴力」が入っていますので、時代の変化を感じざるを得ません。ただ、女性も3位に同じく精神的虐待が入り、4位に暴力が入っています。社会の変化やストレスの増加などで、精神的に追い詰められている実情があるのかもしれません。
協議離婚における決め手となる原因を紹介
それでは今度は、東京の弁護士による協議離婚に見られる理由をまとめてみましょう。基本的に協議離婚は理由に関係なく、夫婦が合意すれば役所に届出を出すことで手続きが完了し成立します。ただ財産分与や親権の問題がある場合、間に代理人として弁護士を立てることも多いです。
そうした依頼の中で一番多い理由は、やはり裁判所同様「性格の不一致」が挙げられています。もちろんケースバイケースでさまざまな理由がありますし、細かく言えば千差万別なのは当然ですが、大きくまとめると一番の理由となっています。また、言い方を変えると「価値観の相違」とも表すことができますが、ささいなことでも毎日の生活で言い争いばかりが起きるようでは精神的に大きな負担になるのは言うまでもありません。
最終的には共同生活を維持できない状況になり、同居義務が果たせず別居、離婚へと至るケースが多いです。この場合、夫婦どちらか一方に原因があれば損害賠償責任に基づき慰謝料が発生しますが、価値観の不一致では一方だけが特別悪いことにはなりません。多くの場合慰謝料は発生しませんが、一方がどうしても別れたいのに相手が同意しない場合、同意を得るために支払って解決するという手段もあります。いずれにしても双方の合意に基づいておこなわれます。
価値観の相違で問題になりやすいのは、住まいの場所、生活費の収支管理、子どもの学校や教育方針などです。もっとも何から何まで同意見になることはほぼありませんので、都度話し合って譲歩するのが基本です。ただこうした家庭の運営がうまく行かず、良好な関係が築けなくなり、問題が表面化するといずれ離婚を選択することになります。
次に多いのが、不倫や浮気などの「異性関係」です。夫婦の一方側に異性問題があり、婚姻期間の中で問題が表面化することで別れに至ります。夫婦関係が悪いからとも限らず、悪くなくても軽い気持ちでほかの異性に好意を持ったり、突如としてより心を奪われる異性に出会うこともあります。信頼を裏切られた側は異性関係を解消して関係修復を目指すか、別れる道を選ぶかになるでしょう。幼い子どもがいる場合、別れを選択する傾向が多く見られます。
多額の借金が原因になる場合もある
裁判所の公表内容でも弁護士の依頼内容でも表立っていませんが、一方の多額の借金や繰り返される借金が原因で別れに至るケースは少なくありません。夫婦には共同生活を維持する義務がありますが、それにはお互いに助け合うことが必須です。婚姻生活を送る費用を「婚姻費用」と言いますが、夫婦それぞれ収入や資産に応じて分担する義務があります。
収入が多くある側は婚姻費用を多く負担する義務がありますが、事情が変化して収入が減少すれば、もう一方が働いて収入を得るなど協働して家計を支える必要があります。夫婦にはこのような助け合いの義務があり、家計を維持する共同体なのです。つまり一方側の多額の借金は、夫婦の協働関係を一気に破壊する行為と言えます。返済不能となれば法的な解決策もありますが、その場合は借金の目的が問われます。
例えば家計の不足分を補てんする目的の場合はやむを得ないとも捉えられますが、ギャンブルや趣味、飲食費などの遊興費であれば許されません。夫婦の信頼関係が崩れるのも当然ですし、夫婦関係を解消して負債は当人が解決するしかないでしょう。
離婚の決め手になる原因は、裁判所でも弁護士事務所でも第1位が「性格の不一致」となっています。別々に育った男女が運命共同体として生活を共にする以上、意見の相違がさまざまあるのは至極当然でしょう。
それを踏まえたうえで、お互いに都度問題解決に取り組む協力関係が欠かせないのはもちろんのことです。価値観の違いはあっても、夫婦である以上協働関係を維持する義務を担いますからそれを忘れることなく日々を暮らすことが大切です。