円満離婚をするための心構えとは?話し合うべき離婚条件は何?
離婚は精神的負担や生活面への影響が大きいため、できるだけ円満に離婚を進めて負担を軽減したいところです。そこで今回は、円満離婚をするための心構えや、円満離婚に向けて話し合うべき内容を紹介していきます。本記事を読んで、パートナーとの後腐れのない、未来を見据えた別れを実現させてください。
円満離婚のメリット
円満離婚には、短期間で離婚できる、費用を抑えられる、納得のいく条件を決められる、良好な関係を保てるという4つのメリットがあります。
短期間で離婚できる
ひとつ目のメリットは、短期間で離婚できることです。
離婚が揉めると、調停や裁判が必要となり、離婚成立までに1年以上かかることが多いです。一方、円満離婚の場合、夫婦間で合意が成立すれば、離婚届を役所に提出するだけで済みます。これにより、裁判などを通じた離婚よりも短期間で離婚が成立します。
費用を抑えられる
つぎに、離婚にかかる費用を抑えられます。
円満離婚の場合、基本的に離婚にかかる費用はほとんどありません。しかし、揉めて裁判になった場合、裁判所に支払う費用や弁護士費用が必要となります。離婚後の新たな生活にはお金が必要ですから、離婚にかかる費用はできるだけ抑える方がよいでしょう。
納得のいく条件を決められる
3点目は、互いに納得のいく離婚条件を決めやすいことです。
話し合いによる円満離婚では、夫婦が納得のいく条件を設定しやすくなります。これにより、離婚後に「もっと養育費をもらうべきだった」「財産分与に納得ができない」といった後悔が少なくなります。
また、一方が納得していない離婚条件では、養育費の不払いなどのリスクが生じやすいですが、双方が納得している場合、決めたことが実行されやすく、トラブルを防ぐことが可能です。
良好な関係を保てる
円満離婚では、離婚後も相手と連絡を取り合うなど、良好な関係を保ちやすいです。
裁判で争った場合、離婚後に良好な関係を築くのは難しいですが、円満離婚ならその可能性が高まります。離婚しても子どもにとっては大切な父母であることに変わりはありません。夫婦が良好な関係を維持できることで、子どもへの心理的影響も少なくて済むでしょう。
円満離婚を実現させるための心構え
円満離婚を目指すには、次の2つの心構えが重要です。
離婚条件を妥協しないことと、配偶者の意思を尊重することです。これらの心構えが欠けていると、円満離婚が難しくなるだけでなく、離婚後に後悔する可能性も高まります。
離婚条件を妥協しない
まず、離婚条件を妥協しないことが大切です。
争いを避けて円満に離婚したいからといって、離婚条件を曖昧にしたり、納得していない条件で妥協してしまったりするのは避けるべきです。具体例として、養育費の金額を決めないまま離婚すると、毎月の支払いが数千円しかないという事態になりかねません。
また、財産分与について十分な話し合いをしないと、家財道具や車を相手に持っていかれ、離婚後の生活が困難になる場合もあります。同様に、慰謝料の金額を決めないままだと、支払いがないことも考えられます。
さらに、面会交流について十分に話し合わないと、子どもと会えなくなる可能性もあるでしょう。とくに、財産分与、慰謝料、養育費は、離婚後の生活の資金となるため、妥協せずにしっかりと決める必要があります。
配偶者の意思を尊重する
次に、配偶者の意思を尊重することも重要です。
円満離婚は夫婦が互いに納得して離婚することを意味します。つまり、自分の希望だけでなく、相手にも納得してもらう必要があります。お互いが納得できる離婚の実現には、相手を説得し、相手の意思を尊重することが不可欠です。
離婚に向けた話し合いでは、婚姻生活中に感じていた不満や怒りが表面化しやすく、感情的になりがちです。しかし、感情的になって自己の希望を一方的に押し付けると、ささいな争いが生じ、円満な解決が難しくなります。
そのため、話し合いの際には自分の意思だけでなく、相手の意思も尊重することを心に留めておくべきです。
話し合うべき離婚条件とは
円満離婚に向けて、話し合うべき主な離婚条件は財産分与、年金分割、慰謝料、親権および子どもの戸籍、養育費および面会交流です。
これらの条件について事前に知っておくことで、適切な準備が可能になります。
財産分与
まず、財産分与についてです。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が共同で築いた財産を離婚時に清算し分配する制度です。
対象となる財産には、不動産、車、保険の解約返戻金、ペット、預貯金、有価証券、退職金、家具などが含まれます。夫婦共同名義だけでなく、片方の名義のものも対象となります。離婚の話し合いの前に、どのような財産を持っているか整理しておくとよいでしょう。
年金分割
次に、年金分割についてです。
年金分割とは、離婚後に片方の配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割し、もう片方の配偶者が受け取れる制度です。年金分割の手続きは離婚後2年以内に行う必要があります。
とくに熟年離婚の場合、年金が生活の糧となるため、しっかりと決めておくことが重要です。年金の額や分割後の具体的な金額を知るためには、年金事務所に情報提供請求書を提出しましょう。
慰謝料
次に、慰謝料についてです。
慰謝料とは、配偶者の不倫やDVなどの行為によって生じた精神的苦痛を金銭に換算したものです。慰謝料の請求には、証拠を集めておく必要があります。証拠がないと、相手に言い逃れされる可能性があるのです。
慰謝料の請求で、精神的な清算ができ、離婚後の新たなスタートを切りやすくなります。
親権・戸籍
次に、親権および子どもの戸籍についてです。
未成年の子どもがいる場合、離婚後は父母のどちらかが親権者になります。親権を得るためには、養育の実績を作り、離婚後に子どもが育つにふさわしい環境を整えることが重要です。
また、婚姻によって氏を改めた親が親権者となり、子どもを自分の戸籍に入れたい場合、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申立てる必要があります。
養育費・面会交流
最後に、養育費および面会交流についてです。
養育費とは、子どもの衣食住、教育、医療費などの養育に必要な費用です。養育費の金額は夫婦双方の年収などを考慮して決めます。面会交流とは、子どもと離れて暮らす親が定期的に子どもと交流することです。
養育費の支払いと面会交流は関連することが多く、両者を合わせて話し合うとよいでしょう。
まとめ
円満離婚を目指すための心構えと話し合うべき離婚条件について解説しました。円満離婚には短期間で離婚できる、費用を抑えられる、納得のいく条件を決められる、良好な関係を保てるといったメリットがあります。財産分与、年金分割、慰謝料、親権、養育費、面会交流の5つの条件を事前に話し合い、離婚条件を妥協せず、配偶者の意思を尊重することで、後腐れのない未来を見据えた別れを実現しましょう。