
「日本の離婚率は増えている」は誤解?現状の傾向とデータが示す実態

離婚に対する抵抗感が以前より薄れたことで、「日本では離婚が増加している」と感じる方もいるかもしれません。しかし、実際の離婚件数は2000年代初めを境に減少しています。その一方で、長い結婚生活を終える夫婦が目立つなど、離婚の形には変化が起きています。日本の離婚事情について、全体の推移だけでなく、離婚に至る背景や手続き、夫婦の状況別に見られる特徴から整理していきましょう。
日本の離婚率は増えているのか?
離婚が以前より身近な選択肢になった印象がありますが、日本の離婚件数や離婚率は長期的には減少傾向です。ただし、数字を見る際は「離婚率」が何を示しているのか正しく理解する必要があります。離婚に対する社会的なイメージと実際の統計には、違いがある点を押さえておきましょう。
離婚件数は2002年を境に減少
日本の離婚件数は1960年代以降に増加しましたが、2002年の約28万9,000組をピークに減少へ転じました。2024年は18万5,895組となっており、ピーク時と比べると年間で約10万組少ない水準です。
統計上の「離婚率」も2002年の2.30から2024年には1.55まで低下しています。離婚率とは、結婚した夫婦のうち離婚した割合ではなく、人口1,000人あたりの離婚件数を表す数字です。たとえば離婚率1.55なら、人口1,000人に対して年間約1.55件の離婚が発生したと読み取ります。
そのため、「離婚率が1.55だから夫婦の1.55%が離婚した」という意味ではありません。離婚に関するデータを比較するときは、どのような基準で算出された数字なのかを確認するのが重要です。
「3組に1組が離婚」は確率ではない
「夫婦の3組に1組が離婚する」といわれる場合があります。2024年の婚姻件数48万5,063組に対し、離婚件数は18万5,895組でした。単純に比較すると4割近くになりますが、同じ夫婦を追跡した結果ではありません。
2024年に離婚した人の中には、数年前に結婚した夫婦も、数十年間生活を共にしてきた夫婦もいます。そのため、結婚した夫婦の3組に1組が将来必ず離婚すると考えるのは正確ではありません。
また、離婚件数には婚姻数そのものの減少や少子高齢化による人口構成の変化なども関係しています。夫婦関係に悩みながら婚姻を継続する人や、別居を選ぶ人も離婚件数には表れません。「離婚が減ったから家庭が安定した」と単純に判断せず、社会全体の変化も含めて数字を見るのが大切です。
離婚理由やその離婚方法について
夫婦が離婚を選ぶ理由は一つではありません。また、離婚を決めた後の手続きにも複数の方法があります。夫婦の関係や話し合いの状況によって、適した進め方は異なります。離婚後の生活にも関わるため、感情面だけではなく、お金や子どもなどについても整理しておく必要があるでしょう。
離婚につながる理由は夫婦によって異なる
離婚の背景には、性格や価値観の違い、金銭問題、異性関係、暴力など、さまざまな事情があります。家事や育児の分担、仕事への理解、親族との付き合いなど、日常生活で生じた小さな不満が積み重なる場合もあるでしょう。
また、結婚生活では夫婦を取り巻く環境も変わります。出産や子育て、転職、介護、定年などを迎えると、生活のリズムや家族内での役割が変化する場合があります。それまで気にならなかった価値観の違いが表面化し、今後の暮らし方を考え直すきっかけになるケースも考えられます。
日本では協議離婚が多い
日本では、夫婦の話し合いによって離婚を決める「協議離婚」が中心です。2020年には、離婚全体の88.3%を占めていました。双方が合意したうえで離婚届を提出するため、裁判所を利用せずに手続きを進められます。
ただし、離婚に合意するだけでなく、その後の生活について決めておくのも重要です。子どもがいる夫婦であれば、養育費や親子交流などについて話し合う必要があります。財産分与や住居なども含め、離婚後に認識の違いが生まれないよう整理しておくと安心です。
夫婦だけで話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で離婚調停を行う方法があります。調停委員などを介して話し合い、それでも解決できなければ離婚訴訟へ進む場合もあります。争いが大きい場合や財産などの問題が複雑な場合は、弁護士などの専門家へ相談する方法も検討しましょう。
実際のデータからみるパターン別離婚の変遷
日本全体では離婚が減っていますが、すべての夫婦に同じ傾向があるわけではありません。とくに結婚生活の長さで分けると、短期間での離婚が減る一方、長年連れ添った夫婦の離婚は増えています。全体の件数だけでは見えにくい変化にも注目してみましょう。
結婚生活が短い夫婦の離婚は減少
同居期間5年未満の夫婦による離婚は、2005年には約9万組でしたが、2024年には約5万1,000組まで減っています。2024年も前年より1,154組減少しました。
背景には婚姻数そのものの減少があるほか、晩婚化など結婚を取り巻く環境の変化も考えられます。結婚前に同棲し、お互いの生活習慣や金銭感覚を知ったうえで結婚するカップルもいるでしょう。結婚までの過程が以前とは変化している点も、短期間での離婚を考えるうえで注目したい部分です。
ただし、若い世代の人口減少なども影響するため、「結婚直後の夫婦関係が安定したから」と理由を一つに絞るのは難しいでしょう。離婚件数を見る際は、その年代の人口や婚姻数も合わせて考える必要があります。
20年以上連れ添った夫婦の離婚は増加
一方、同居20年以上の夫婦による離婚は、1985年の約2万組から2024年には約4万組へ増えています。全体の離婚件数が減っているなか、いわゆる熟年離婚は異なる動きを見せています。
子どもの独立や定年などを迎えると、それまでとは生活の形が変わります。平均寿命が延びた現在では、50代や60代から先にも長い人生があります。夫婦として今後も一緒に生活するのか、それぞれの人生を選ぶのかを改めて考える人もいるでしょう。
地域による違いもあります。2020年の離婚率は沖縄が2.1、福岡が1.8、大阪が1.7だった一方、鳥取は1.1でした。ただし、人口構成や婚姻状況、人口移動なども異なるため、数字の高低だけで地域の夫婦関係を判断するのは適切ではありません。
まとめ
日本の離婚件数や離婚率は、長期的に見ると減少傾向です。ただし、短期間で別れる夫婦が減る一方、長年連れ添った夫婦の離婚は増えています。離婚理由や方法もさまざまであり、一つの数字だけでは実態を判断できません。統計の意味を正しく理解し、年代や結婚生活の長さ、社会環境の変化なども含めて見るのが大切です。










