
偽装離婚とは?バレたときのリスクや発覚のきっかけを解説
偽装離婚とは、実際には夫婦関係を継続しながら、書類上だけで離婚を装う行為です。住宅ローンの名義変更や生活保護の受給などを目的に行われることがありますが、発覚すれば重大なペナルティを受ける可能性があります。そこで本記事では、偽装離婚の定義やバレるきっかけ、違法性についてわかりやすく解説します。
夫婦関係を続けながら離婚する理由とその実態
夫婦関係を続けたまま、書類上だけで離婚を装う「偽装離婚」は、実際には別れていないのに、行政上のメリットを得るために離婚届を提出する行為で、年々その件数が増えています。以下では、偽装離婚の目的や背景、そしてその問題点について解説します。
書類上だけの「離婚」という選択
偽装離婚とは、実際には夫婦関係を継続しながらも、書類上だけで離婚を装う行為です。見た目は離婚したように見えますが、実際には同居していたり、経済的にもつながっていたりします。
このような手段が取られる理由は、生活保護の不正受給、借金逃れ、保育園の優先入園など、行政サービスを有利に受けるために制度の「抜け道」として悪用されるケースが多く、社会的な問題となっています。
なぜ今、偽装離婚が増えているのか
偽装離婚は年々増加傾向にあります。背景には、長引く経済不況や格差の拡大があります。「働いても十分な収入が得られないなら、制度を利用してラクをしたい」と考える人が出てくるのです。
また、日本では離婚が書類一枚で成立するため、手続きがかんたんであり、悪用されやすいという側面もあるといわれています。
偽装離婚はバレない?
偽装離婚は「バレなければ問題ない」と考える人もいますが、本当に発覚しないのでしょうか。以下では、偽装離婚がバレる可能性や、見抜かれるおもなケースについて解説します。
見た目では判断しづらい関係性
偽装離婚は一見すると離婚したように見えるため、外からは気づきにくいのが現実です。夫婦が別々に住んでいるように装い、普段の生活でも距離を保っていれば、第三者が本当の関係を見抜くのは困難といえるでしょう。
実際の人間関係は外からでは判断しづらく「バレにくい」という側面はたしかに存在します。しかし、それが「絶対にバレない」ことを意味するわけではありません。
生活保護受給者はバレる可能性が高い
生活保護を受給している場合、偽装離婚は見抜かれやすくなります。なぜなら、ケースワーカーという専門職が家庭訪問を通じて生活状況を確認するためです。
もし不自然な点や疑わしい点が見つかれば、定期的に訪問を繰り返すようになり、最終的には偽装が明らかになるケースもあります。とくに同居の事実や生活費の共有などが発覚すると、不正受給と見なされる可能性が高まります。
ご近所の目もあなどれない
偽装離婚がバレるきっかけのひとつに、近隣住民からの通報があります。普段から顔を合わせるご近所さんは、意外と家庭の様子を見ているものです。
「離婚したはずなのに、以前と何も変わっていない」「毎晩帰宅しているようだ」といった違和感から、自治体に通報されることもあります。地域社会の目は思いのほか鋭く、偽装が見抜かれる要因となっています。
偽装離婚がバレたらどうなる?法律・金銭・社会的な代償
一見バレなさそうに思える偽装離婚ですが、万が一発覚するとその代償は非常に大きなものとなります。以下では、偽装離婚がバレた場合にどんなリスクが待っているのかを解説します。
違法行為が発覚すれば重いペナルティも
偽装離婚によって不正に金銭を受け取った場合、それはれっきとした犯罪行為です。たとえば、生活保護を受けるために離婚を装った場合「公正証書原本不実記載等罪」に問われることがあり、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、受給していた生活保護費は全額返還を求められ、支給は即座に打ち切られます。軽い気もちで行った偽装が、後々大きな金銭的・法的責任となって跳ね返ってくるのです。
借金逃れは破産手続きにも影響が
偽装離婚によって財産を配偶者に移し、借金から逃れようとする行為は、破産法において「財産の隠匿行為」とされます。自己破産の手続き中にその事実が発覚すれば、免責が認められなくなるだけではなく「詐欺破産罪」に問われる可能性もあります。
この罪が成立すると、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という重い刑罰を受けることになります。つまり、偽装離婚は借金から逃れるどころか、より大きなリスクを背負うことになるのです。
法的責任だけではなく社会的信用も失う
偽装離婚によって保育園の入園優先度を上げた場合、生活保護などと同様に「公正証書原本不実記載等罪」に該当する可能性があります。ただし、金銭的利益が明確でないため、法的な罰則は受けにくいのが実情です。
しかし、近隣住民や保育園関係者の知るところとなれば、保育園からの退園要請や地域社会での非難など、強い社会的制裁を受けることになります。自分だけではなく、子どもにも影響を与える結果となることを忘れてはいけません。
まとめ
偽装離婚は、一見うまくいくように見えても、多くのリスクと隣り合わせです。金銭的な利益を得るために行った行為が、法的な罰則や返還請求、さらには社会的信用の失墜につながる可能性もあります。夫婦関係を続けながら離婚を装うことは、軽はずみに選ぶべきものではありません。短期的な得よりも、長期的な信頼と安定を大切にすることが、結果的に自分と家族を守る最善の選択となるでしょう。