熟年離婚の原因と後悔しないための準備について解説
長年の結婚生活に終止符を打つ熟年離婚は、今や珍しいものではなくなりました。しかし、長年連れ添った夫婦が離婚するからには、相応の理由があるはずです。そこで本記事では、熟年離婚でよくある原因やメリット・デメリット、後悔しないための準備を解説します。熟年離婚をするか悩んでいるひとは、参考にしてみてください。
熟年離婚の原因
熟年離婚に至る夫婦には、いくつかの特徴があります。それらの特徴や原因には、長年の結婚生活の中で培われた複雑な要因が関わっています。
夫婦の価値観の相違
まず、夫婦間の価値観の違いが挙げられます。結婚当初は愛し合っていても、時間の経過と共に価値観の相違が顕在化し、金銭感覚や家事・育児へのスタンス、宗教観、生活習慣などが衝突することがあるでしょう。これが長年積み重なり、耐えがたい不一致となることで、離婚へと至る場合があります。
夫の定年退職
また、夫の定年退職による家にいる時間の増加も離婚の要因となります。定年後、夫婦が一緒に過ごす時間が増えることで、生活スタイルや期待が変化し、それに伴ってストレスが生じることが起こり得るのです。特に、家事やコミュニケーションの不足など、夫婦関係における問題が浮き彫りになることで、離婚を決意するケースが増えます。
子どもの自立
子どもの自立も離婚の要因として挙げられます。子どもが自立すると、夫婦の間に存在した「子どものために」という束縛がなくなり、夫婦自身が新たな生活を模索するようになります。これまでの我慢が報われることなく、残りの人生を充実させるために、離婚を選択する夫婦が増えているのです。
介護問題
介護問題も熟年離婚の要因の1つです。特に義理の親の介護は、重労働であり、その負担が夫婦関係に影響を及ぼすことがあります。介護に対する協力や理解が不足し、感謝されない状況が続くことで、夫婦間の溝が深まり、離婚に至る場合が多いです。
浮気・不倫
最後に、配偶者の浮気や不倫も離婚の要因です。特に近年は、スマートフォンやSNSを通じた出会いが増え、不倫が増加しています。また、子どもが成長するまで我慢してきた夫婦もいるため、その後の離婚が見られる傾向にあるのです。
複数の要素が絡み合って離婚に至る
これらの要因は単独でなく、複数の要素が絡み合って離婚に至ることが多いです。夫婦の関係性や生活環境は複雑であり、個々の事情によって異なるため、一概に離婚の理由を特定することは難しい場合もあります。
熟年離婚のメリットとデメリット
熟年離婚には様々なメリットと同時に、当然デメリットも存在します。デメリットを把握せずに勢いで離婚すると後悔する可能性があるので、リスクを正しく理解したうえで判断しましょう。
メリット
熟年離婚のメリットは、なんといっても残りの人生を、自分の好きなように謳歌できるという点でしょう。長年の我慢・ストレスから解放され、老後に相手の世話をしなくて良いことや、趣味や自分の好きなことに没頭できること、折り合いの悪かった相手の親族との関係を断ち切れることなどがあります。
また、義理の親の介護問題からも解放され、自分の人生を自由に送ることができることでしょう。もちろん、恋愛も自由です。
デメリット
一方、熟年離婚には特有のデメリットやリスクも存在します。見切り発車で離婚に踏み切り、後悔したり生活に困ったりしないよう注意が必要です。熟年離婚後の1人暮らしは孤独を感じることが多く、社会との繋がりが薄れることが挙げられます。
また、経済的な不安も大きな問題であり、特に専業主婦として夫の経済力に依存していた場合は、生活費や老後の資金に不安を感じるでしょう。生活面でも不安があり、家事を一人でこなすことや生活の質の低下が懸念されます。
後悔のない熟年離婚のための準備
熟年離婚を検討する際、後悔しないためには慎重な準備が不可欠です。
生活基盤の整備
生活基盤の整備は最優先事項です。離婚後の住む場所の確保や就職先の探索は重要でしょう。特に、専業主婦(主夫)の場合は、職探しに時間がかかる可能性があるため、早めに資格取得や面接対策を行う必要があります。また、生活費の見積もりも怠らず、生活費や老後資金の確保策を練ることが必要です。
財産分与
財産分与も重要な準備事項です。婚姻期間中に築き上げた財産を公平に分け合うことが求められます。夫婦で協力して、どのように財産を分配するかを話し合い、合意を形成することが望ましいです。
また、年金分割も忘れてはなりません。婚姻期間に対応した厚生年金保険料を分割する制度であり、熟年離婚では年金分割の対象が高額になる傾向があります。
慰謝料の請求・未成年の子どもの親権問題の考慮
さらに、慰謝料の請求や未成年の子どもの親権問題も考慮すべきでしょう。不法行為に基づく精神的苦痛を証明し、慰謝料を請求するためには具体的な証拠が必要です。また、未成年の子どもがいる場合は、親権者の決定や養育費の取り決めも重要になります。
まとめ
熟年離婚は慎重な決断が求められます。長年の結婚生活の中で培われた複雑な要因が絡み合い、離婚の決断に至ることが多いです。離婚後のメリットとしては、自分の人生を自由に謳歌できることが挙げられます。一方で、孤独感や経済的な不安、生活の質の低下など、離婚後のデメリットも考慮すべきです。後悔しないためには、離婚を検討する際に慎重な準備が欠かせません。生活基盤の整備や財産分与、慰謝料の請求や子どもの親権問題の考慮など、様々な面を十分に考慮し、準備を整えることが重要です。経済的・精神的な安定を確保し、新たな人生のスタートを切るために、慎重に判断しましょう。