離婚するとき引越費用を請求できる?注意点も紹介
離婚時に問題となるのが新居への引越費用です。特に配偶者の浮気やDVが原因となり離婚へと発展した場合には、旧居を出るための費用を配偶者に負担してほしいと考える人は多いでしょう。今回は離婚時の引越費用について、配偶者への請求可否や引越費用の内訳、引越の際の注意点などを詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
引っ越し費用を相手に請求できる?
離婚の際には慰謝料や養育費、財産分与などのさまざまな費用の請求が可能です。離婚後に自身が旧居を出て暮らす場合には引越し費用が必要となりますが、引越費用は配偶者に請求できるのでしょうか。以下では、離婚の際の引越費用請求について詳しく解説します。
基本的に引越費用は請求対象とはならない
そもそも引越費用は、離婚時に請求できる費用として法律で定められているものではありません。
離婚の際には財産分与とともにさまざまな費用請求が可能ですが、引越費用は財産分与した資金や、自身の結婚前の貯金などから捻出しなければならないのが通常です。
交渉次第では請求可能な場合もある
引越費用は法律では請求が認められていません。しかし、双方の話し合いによって「引越費用を負担する」と決めることは可能であるため、交渉が成立すれば引越費用を請求できます。
基本的には相手が離婚や別居を望んでいる場合か、相手の浮気やDVなど相手側に落ち度がある離婚の場合には、交渉をスムーズに進められるでしょう。
一般的にかかる引越費用とは?
一般的に引越の際にかかる費用にはどのような項目があるのでしょうか。以下では、引越費用として必要な資金を4つに分けて解説します。
引越作業そのものに必要となる費用
引越業者を利用する際の費用や、自身で引越をする場合のトラックレンタル費用などです。また、細かな費用として、梱包に使用する道具の購入費用やWi-Fiの契約・解約費用なども挙げられます。
新居の契約費用
新居の契約費用とは、敷金・礼金や仲介手数料に加え、火災保険の保険料などを含む費用です。
さらに、引越の荷物を運び入れる時期には部屋を借りていなければならないケースが多いため、たとえば実際に住み始めるのが5月からであっても、4月後半に荷物を運び入れるのであれば4月分の家賃も必要となります。
旧居の退去費用
配偶者と暮らしていた旧居を解約する際には、修繕費用やハウスクリーニング費用、荷物を運び出す日までの家賃などが必要です。
家具・家電の購入費用
新居で使う家具・家電を新しく買い揃える場合には、購入費用も準備しなければなりません。さらに、旧居で使用していた家具・家電の処分にもお金がかかるため、忘れずに計算に含めましょう。
また、細かな費用を上げると、新居で使うシャンプーやティッシュなどの消耗品を揃えたり、キッチン用品・掃除用品などを購入したりするための資金も必要です。
離婚時に引越作業をするうえで注意点
離婚にともなう引越作業では、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。以下では、離婚時の引越作業で注意すべき点について詳しく解説します。
離婚成立前の引越は慎重に
こちら側は離婚を望んでいるものの配偶者が離婚に納得していないという場合、離婚成立前に別居に踏み切ろうと考える人いるでしょう。
しかし、離婚成立前の引越は夫婦の同居義務違反とみなされ、配偶者から慰謝料を請求されてしまうケースもあります。離婚成立前の場合は引越作業も慎重に進め、不安があれば弁護士に相談するのもひとつの方法です。
旧居から家具・家電を持ち出す場合は配偶者と話し合う
結婚生活の中で購入した家具・家電は夫婦2人の財産です。特に高額な家具・家電を引越時に勝手に持ち出してしまうと、財産分与の観点から後にトラブルへと発展する可能性もあるでしょう。
家具・家電を含む財産をどのように分けるかしっかりと話し合い、お互いの合意のうえで引越先に運ぶようにしましょう。
引越後の生活の目処を立てておく
離婚による引越の際は、引越費用だけを用意できればよいというわけではありません。その後の生活費を用意できるかどうかを考え、苦しい状況であれば働く場所を探すなどの準備も必要です。
特に配偶者の浮気などで離婚する場合、先の見通しを持たないまま勢いだけで離婚・引越を進めてしまう人も少なくありません。まずは冷静に引越後の生活について考えて、資金面においてある程度の目処を立てておくことが重要です。
まとめ
今回は、離婚の際の引越費用について、配偶者への請求可否や引越費用の内訳、離婚時の引越における注意点などを詳しく解説しました。離婚にともなう引越費用は、法的には配偶者への請求は認められていません。ただし、双方の話し合いによる取り決めで支払うこととした場合には、引越費用を負担してもらうことが可能です。
また、引越費用には引越業者への依頼費用やトラックのレンタル費用のほか、新居の敷金・礼金や家具・家電の購入費用などが含まれます。注意点として、離婚成立前の引越は夫婦の同居義務違反とみなされる可能性があることや、旧居にある家具・家電をどのように分けるかについて十分に話し合うことなどを頭に入れておきましょう。