離婚後300日問題とは何か?子供が無戸籍になる?
離婚する場合には、さまざまな問題点がありますがこのとき弁護士を利用するのが普通になります。ただ、自分がいくら弁護士を利用するとしても、最低限300日問題と無戸籍の問題はそれぞれ理解しておいたほうがよいでしょう。
では、どのようなときにこの問題が関係してくるでしょうか。その事例を見ていきましょう。
民法ではどのように規定されているのか
日本では、離婚に関する問題の多くは民法で規定されています。そこに出てくるのが、離婚後300日問題と呼ばれるものになります。この中身を説明していくと、離婚した女性は、次の結婚相手がいたとしても離婚届をしたときから300日以内に生まれた子供は前の夫の子供と推定するというものです。
ただ、普通に考えれば離婚をする1年ぐらい前から離別をする相手と性行為をおこなうことはあまりありません。多くの場合、離別をする3年ぐらい前から仲が悪くなり性行為が少なくなるだけでなく、多くの場合は不仲になってから性行為をしなくなります。
そして、離別をする直前にわざわざ性行為をするようなことは考えにくいでしょう。そうだとすれば、わざわざこの法律は必要のないものと考えてもよいという意見が出てくるわけです。
そして、この法律が適用されることにより、前の夫の子供と推定されてしまった場合には、その父親と母親はそれを嫌がることが考えられるでしょう。そこで前の夫の子供になることを避けるために無戸籍にすることが多いわけです。
ちなみにここで推定するというのは、前の夫の子供として考えられるということで、何もしなければ前の夫の子供になってしまいます。もし、夫のほうで妻と性行為をしたことが1年間の間で一回もなければ、前の夫としてもこの規定の存在は迷惑な話です。
いずれにしても、この法律自体を適用して得をする人はそれほどいません。そして何より問題なのは、この法律が定められたのは70年以上前になります。当時は、今と比べても医療に関する技術も劣っていましたので、このような法律を使うしかありませんでした。
ですが最近は、DNA鑑定と呼ばれるものがあります。DNA鑑定をすることで親子関係の判別が比較的容易にわかるようになりました。しかも、そこまで大きなお金がかかるわけではありません。もし、確実に前の夫の子供ではないと断言できる場合には DNA鑑定をしたほうがよいでしょう。
推定を覆す場合とはどのようなものか
離婚した後300日以内に生まれた子供でも、前の夫の子供でないと判断される場合には、この推定が働く前に推定をひっくり返す方法を理解しておかなければなりません。この推定をひっくり返すためには、弁護士などを利用して嫡出否認の訴えを提起することが可能になります。
また、親子関係不存在確認の訴えを起こすことも可能になります。これにより、裁判をおこなったときDNA鑑定をしておけば大きな否定するための証拠になりえるでしょう。ただ場合によっては、母親のほうがDNA鑑定を否定するようなこともあります。このような場合、明確な証拠がない段階で裁判をしなければいけません。
このように、弁護士を利用することで問題が解決できる可能性はありますが、その分お金がかかってしまうという問題があります。そのため一部では、民法のこの規定を憲法違反として削除するという運動もおこっているぐらいです。現在、戸籍の子供がいるのはこの規定があることや裁判を起こすお金がない人もいるからといえるでしょう。
ちなみに、裁判するお金がなく、だからといって前の夫の子供と推定されるのも嫌な場合には戸籍を出さない方法があります。通常生まれて十四日程度で戸籍を出す必要がありますが、あえて戸籍を出さなければ前の夫と推定されないわけです。
そうだとすれば、わざわざ裁判をする必要はなくなります。ですが、戸籍を出さなければそのまま無戸籍の子供を増やすことになりかねません。
無戸籍の子供がいる場合の取り扱い方法
無戸籍の子供は現在日本で1万人ほどいるとされています。この理由の一つが、離婚後300日問題が原因とされています。もちろんそれ以外にもさまざまな理由で戸籍を出すことができないことがあります。例えば戸籍を出してしまったために、不倫した相手との間にできた子供の存在がばれてしまう場合です。
ですが、無戸籍の状態を続けると、小学校に入ることができないだけでなく健康保険証などをはじめとする身分を保障するものが何もないため、病院などにも行くことが難しくなるでしょう。これを解決するためには、裁判を起こすのが一つの方法になります。
離婚後300日問題とは、離婚届けを出してから300日以外に生まれた子供は、前の夫の子供と推定されるというものです。前の夫の子供にしたくない場合に、市役所に届けない方法が考えられます。ただこの場合には、いくつかの問題点が生じてしまうでしょう。それは、戸籍がないため小学校に通うことができないことです。
また、健康保険証をはじめとして身分を証明するものが発行されないため、病院などに行くこともできません。このように、いくつもの問題が生じる可能性があります。