自営業を営んでいる配偶者と離婚!養育費はどうなる?
自営業の配偶者と離婚することになった場合、養育費はどうなるのかご存知でしょうか。この記事では、養育費の取り決め方と年収算定方法について紹介しますので参考にしながら計算してみてください。また、自営業の配偶者に養育費を請求するときの注意点と養育費が払われない場合の対処法も紹介します。
支払う養育費の取り決め方
基本的には、裁判所が公表している算定表を用いて算出します。算定表に記載されている自営業の欄を用いましょう。子どもの年齢と人数に応じた表があるので、自分に合った表を選択します。
表の義務者の年収と権利者の年収が交差しているところが、金額の目安になります。義務者とは、養育費を支払う人のことを言い、権利者とは養育費を受け取る人のことを言います。
裁判所のホームページなどに養育費が簡単に計算できるツールが用意されているので、利用してみるとよいでしょう。算定する際に、自営業の人と給与所得者では、算定表の欄が異なるので注意が必要です。
養育費をいくらにするかは、夫婦間で自由に取り決めをすることも可能です。一般的には養育費算定表を参考にするのですが、夫婦間で話し合って納得できた場合にはどのような金額でも問題ありません。しかし、夫婦間で話し合ったがお互いが納得できない場合は、家庭裁判所の調停を利用することで解決させることができます。
離婚する時に取り決めをするには、夫婦関係調整調停で話し合いをします。離婚した後に取り決める場合には、養育費請求調停を利用することになるのです。
自営業を営んでいる方の年収算定方法
養育費を算定するには、年収が大きな要素となります。さらに夫婦間の年収バランスも関係しているのです。自営業の人の年収はどのように捉えるべきなのか、考え方について説明します。
自営業の年収は、売上から必要な経費を差し引いた金額のことを言います。確定申告の際に所得を計算するときと同様の考え方です。しかし、確定申告時における所得控除には、実際に費用を支出していないものも含まれているでしょう。
実際に費用を支出していないものに関しては、養育費の算出をする際には考慮する必要がないため、年収に加算しなくてはいけません。ほかにも、養育費の算出に必要なさそうな経費に関しても加算します。
自営業の場合には、各所得控除を漏らすことなく加算し、年収額を算出するようにしましょう。適正な金額を算出し、しっかり夫婦間で話し合うことが大切です。
自営業を営む配偶者に養育費を請求するときの注意点
自営業の配偶者に養育費を請求するときには注意しなくてはいけない点があります。注意しなくてはいけない所得の内訳について解説します。
経費の中身に注意する
自営業は、自分で売り上げを計算して確定申告を行います。そのため、飲食や物の購入費など事業とは関係ないものを経費として計上していることもあるのです。
経費が多いと本来よりも低い所得であると判断されてしまいます。帳簿などを詳しく調べない限り、実態を知ることは難しいので注意しなくてはいけないのです。
年収に納得できないとき
配偶者が自営業の際には、帳簿や口座などの履歴をすべて提出させましょう。婚姻期間中のことを考慮しながら徹底的に調べることが重要です。提示された配偶者の年収と、実質的な年収が違うことを主張することも可能です。
提示された年収に納得できない場合には、まず弁護士に相談してください。弁護士のサポートを受けながら離婚調停、養育費請求調停を活用しましょう。証拠を残し提出したり諦めずに交渉したりし続けることで、適正な金額の養育費を支払うことを合意できる可能性が高くなります。
元配偶者から養育費が支払われない場合
取り決めをした養育費が支払われなくなってしまうことも考えられるでしょう。支払われなくなってしまった場合には、裁判所に強制執行を申し立てる必要があります。強制執行を申し立てるには、債務名義を取得しなくてはいけません。公正証書は執行証書と呼ばれる債務名義として用いることができます。
そのため、夫婦間の話し合いで養育費を決めた場合には、強制執行を認諾するということを記載しておくことが重要なのです。記載がない場合にはすぐに強制執行を行うことができません。
そのときには、養育費請求調停を行いましょう。調停で合意できた場合には、審判書や調停調書が債務名義となります。債務名義が取得できましたら、強制執行手続きに進みましょう。元配偶者の財産が特定できない場合には、弁護士のサポートを受けながら申し立てを行うことをおすすめします。
養育費の取り決めは、裁判所が公表している算定表を用いて算出します。給与所得者とは養育の算出方法が違いますので注意が必要です。特に所得の内訳については気を付けなくてはいけません。適切な算出をすることで、養育費を受け取る側が不利にならないように取り決めを行いましょう。自分で取り決めを行うことに不安を感じる方や、夫婦間で納得のいく話し合いができない場合も多いかもしれません。養育費を請求する際には、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。