離婚の解決金とは?相場はいくら?
離婚をする際、離婚解決金という名目で金銭の授受がされることがあります。手切れ金や解決金などの異名もあるほどで、比較的よく活用されているようです。しかし、この名目で支払われる金銭は法律上の根拠があいまいで、しばしばトラブルの原因にもなります。当事者の合意を得ておかなければ弁護士の介入が必要になることもあるのです。
いわゆる手切れ金は他の名目の金銭と混同しがち
離婚をする際には両者間でいろいろな費目の金銭の授受がなされます。代表的なものとしては、財産分与・慰謝料・未払いの婚姻費用支払い、養育費や年金分割などが挙げられます。厳密にはこれらの費目にはいずれも法律上の根拠があり、裁判上でも請求できるという特徴があります。
ただし、これらの法律上の根拠が明白であるとしても当事者の一方が首を縦に振らない場合があります。婚姻関係を解消するには双方に何らかの責任があり、支払う側からすると自分ばかりが一方的に責任を負担する印象が強いためです。東京で婚姻関係を解消するにあたって、そのような場合には中身を明示しない曖昧な「解決金」という形で当事者が合意することがあります。
また、これを慰謝料や財産分与・養育費以外の趣旨で授受される金銭の理由にすることもあります。たとえば、相手に不貞行為はないけれど別れたい場合や、お金を支払ってでも婚姻関係を解消したい場合、自分に慰謝料の根拠となる不貞行為が存在しない場合などです。
いわゆる性格の不一致と呼ばれるものですが、慰謝料は不貞行為などの不法行為が存在してこそ、請求の根拠が成立します。とくに浮気などをしているわけではないけれど、とにかく離婚したいのに相手が応じそうもないようなときに、相手の態度を軟化させてスムーズに離婚に導くために金銭を支払うことがあるのです。
いわゆる解決金と慰謝料の違いはどこにあるのか
東京で離婚にともなう相談として弁護士へ寄せられる内容は、慰謝料の支払についての相談が圧倒的に多いです。しばしば慰謝料と解決金は混同されがちですが、どこに違いがあるのでしょうか。
まず、慰謝料とは浮気などの不貞行為により一方的に配偶者に精神的な苦痛を与えた場合に支払う損害賠償金のことを指します。具体的には故意または過失により、相手方に財産的・身体的精神的損害を与えた場合に謝罪の趣旨で交付する金銭です。
これに対して解決金は不貞行為やDV被害などの不法行為の存在を前提とせず、円満に離婚の結論に至るために交付される金銭であり、損害賠償の意味合いを含んではいません。
また、慰謝料の場合は民法上明確に規定されていますが、解決金の場合は法律上の根拠が曖昧です。そのため、裁判で請求しても裁判所に容認してもらうのは非常に難しいという側面があります。しかし、内容が曖昧ということは柔軟な対応が可能ということでもあり、当事者にとっても納得を得やすい面があるため、東京で弁護士に持ち込まれる事例では、積極的に活用することが多いようです。
離婚原因がなくても利用できるため、お互いの名誉を傷つけることなく、問題なく婚姻関係解消を実現できます。また、別れた後の生活費がネックとなり離婚に応じない場合も、まとまった解決金を提示することで相手の意向を合意に持って行きやすくなるでしょう。
手切れ金の相場はいくらほどになるのか
東京で弁護士に離婚を相談するケースでは、慰謝料や財産分与だけでなく解決金の支払を巡る対立も交渉の対象になることがあります。法的根拠がなく、出費の趣旨が曖昧な解決金ですが、具体的にはどれほどの金額が相場になるのでしょうか。慰謝料であれば不貞行為やDV被害などの原因によって、ある程度の相場があります。
また、未成年の子どもがいる場合に問題となる養育費についても、裁判所などで収入などに応じた金額がある程度決められています。これらと異なり、解決金については相場となる金額が明示されていないのが原状で、解決金の相場は存在しないといってよいでしょう。そのため、双方がそれぞれの具体的事情を鑑み、当事者同士が納得できる金額が妥当な金額ということになります。1000万円以上でも難色を示す場合もあれば、100万円ほどで納得することもあるわけです。
ただし、慰謝料や財産分与として支払うべき場合もあれば、解決金で支払うのが適切な場合もあるということに注意が必要です。財産分与であれば婚姻関係継続中に形成した財産は、原則として受け取る権利が双方に半分ずつあります。そのような点に無知だと、本来請求できるはずの金額よりも遥かに低い金額で合意してしまう可能性があります。
逆に、不当に高額な支払を請求されることもあるかもしれません。後日トラブルに発展しないように、書面にまとめて署名押印して保管しておくなどの対策を取っておくとよいでしょう。
東京で離婚に向けて弁護士に依頼する際に、解決金の活用を提案されることがあります。解決金は財産分与や慰謝料などと異なり法的根拠が曖昧です。後日後悔しないためにも、どのような趣旨で合意するのか、弁護士のサポートも受けながら十分納得のうえ合意することが大切です。