離婚できるかどうかを最高裁判所で判断する?離婚訴訟についても解説
離婚問題の解決方法には、協議離婚や離婚訴訟などのさまざまな種類があります。夫婦間での話し合いによって解決するのが難しい場合は調停などの方法もあるものの、最終的には裁判によって解決しなければならないケースもあるでしょう。今回は離婚訴訟について、概要や条件、具体的な実例などを詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
そもそも離婚訴訟とは?
まずは、離婚訴訟について解説します。
離婚訴訟の概要
離婚訴訟とは、離婚について夫婦間で意見が合わない場合の最終手段ともいえる解決方法です。離婚訴訟では、そもそも離婚が成立するかどうかや、離婚が成立する場合には慰謝料や養育費などの条件について判決が下されます。
離婚訴訟を起こすための条件
離婚訴訟は夫婦間で離婚に関する意見が合わなければいつでも起こせるものではなく、いくつかの条件を満たすことではじめて訴訟が可能となります。
離婚訴訟を起こすための条件は、「夫婦間の協議と離婚調停を経てもなお解決しないこと」、「法律で定められる5つの離婚事由のどれかに該当すること」の2点です。先述の通り、離婚訴訟は離婚問題における解決方法の中でも最終手段とされています。
そのため、いきなり離婚訴訟を起こせるわけではなく、まずは夫婦間での話し合いや離婚調停を経て、それでもなお解決しない場合に訴訟を起こすことが可能となります。
また、離婚訴訟を起こすには、夫婦どちらか一方の不貞行為や回復の見込みがない強い精神病など、法律に定められた5つの離婚事由のどれかに該当していることが不可欠です。
離婚調停までの段階であれば離婚理由はどのような内容でも問題ないものの、訴訟を起こす場合、法律で定められた離婚事由以外の理由での離婚は認められないことを頭に入れておきましょう。
離婚訴訟の判決で決められる内容
先述の通り、離婚訴訟では離婚が成立するか否かに加え、離婚する場合は細かな条件なども決定されます。
具体的な例として挙げられるのは、「慰謝料を請求できるかどうか」と、請求できる場合における「請求金額」、「財産分与の内容」、「子供の親権」、「養育費支払いの方法とその金額」、「親権がない親の子供との面会頻度や面会に関するルール」などです。
離婚訴訟は原則として「家庭裁判所」で済ますことが多い
離婚訴訟の際、まずは第一審として夫婦どちらかの居住地にある家庭裁判所にて裁判が行われます。
多くの場合は訴訟中に双方の話し合いにより和解する「和解離婚」をするか、家庭裁判所による判決を受け入れて解決となるため、家庭裁判所内において離婚訴訟を済ませるのが一般的であるといえるでしょう。
ただし、家庭裁判所での判決に納得できない場合は、控訴して第二審の高等裁判所で争うことも可能です。また、高等裁判所の判決に不服がある場合には上告もできます。
しかし、上告は「判決が違憲である」「判決の法令違反が明らかである」などの特別な事情がなければ認められません。上告が認められる場合には、第三審として最高裁判所で争うことが可能です。
離婚訴訟が最高裁判所までもつれた実例はある?
離婚訴訟が最高裁判所までもつれた具体的な実例を2パターン紹介します。
ケース1:生活費を稼ぐための不貞行為による離婚訴訟
夫が酒に溺れて帰らなくなり、妻が生活のために売春業として働いていた事例です。夫は妻の不貞行為・妊娠を理由に離婚を求めましたが、妻は不貞行為は生活費を稼ぐためであったとして離婚を拒否しました。
一審・二審では妻の不貞行為を離婚事由として認めなかったものの、夫は判決の法令違反を理由に上告します。結果、最高裁では妻の不貞行為は離婚事由に該当すると判断され、離婚が認められました。
ケース2:強い精神病による離婚訴訟
妻の精神病を理由として夫が離婚を求めたケースです。一審・二審では離婚を認める判決が下されたものの、妻が判決の法令違反を理由として上告しました。最高裁では、法律では回復見込みのない精神病は離婚事由に該当するとしながらも、不治の精神病だけを理由に必ず離婚が認められるわけではないと判断しています。
夫婦どちらか一方が強い精神病を患った場合であっても、精神病患者側の生活についてその後の見通しが立たないうちは離婚することが難しいという理由により、当ケースにおいては離婚の請求を認められないという判決を下しました。
まとめ
今回は、離婚訴訟の概要や条件、控訴・上告や具体的な実例などを詳しく解説しました。離婚訴訟は離婚問題を解決するための最終手段とされています。そのため、協議や調停を経てからしか訴訟はできず、また、法律で定められる離婚事由に該当しない場合には、そもそも訴訟が認められません。離婚訴訟は第一審を家庭裁判所で行い、判決に納得できなければ控訴や上告も可能です。
ただし、上告は判決が違憲である場合や、明らかな法令違反であると判断される場合のみ認められます。多くの場合は第一審である家庭裁判所において離婚問題が解決するものの、中には最高裁判所までもつれるケースもあります。離婚問題に直面している人は、最高裁判所などにおける判例をよくチェックし、自身の状況と比較しながら慎重に訴訟手続きを進めてください。