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慰謝料の支払い時にトラブルになりやすい求償権とは?分かりやすく解説

公開日:2023/02/15  


配偶者が不倫をしていることが発覚したら、不倫相手に慰謝料を請求したいと考える方は多いでしょう。不倫の慰謝料について調べると求償権という言葉がよく出てきますが、どんな関連なのでしょうか?この記事では、慰謝料と求償権との関係や、求償権を放棄するデメリット、求償権に関するトラブルを防ぐ方法を解説します。

そもそも求償権とは

求償権は民法に定められており、債務を肩代わりに支払った保証人が、債務者に対して支払った分を返すよう請求する権利のことです。求償権の種類は大きく2つに分けられ、

・借金の返済ができないときに保証人によって求償権が行使される場合
・連帯債務によって求償権が行使される場合

上記の2つがあります。不倫の慰謝料の支払いのときに行使されるのは、後者の連帯債務による求償権です。

不倫の慰謝料支払いに関する求償権

不倫の慰謝料支払いに関する求償権とは、不倫した2人のどちらか一方が慰謝料全額を支払った場合、他方に、自分が本来支払うべき金額を超えて支払った部分の金額を請求できる権利のことです。不倫した2人は民法上、共同で不法行為をしたことになり、連帯債務者とみなされるため、双方に支払い責任があります。支払い責任の金額配分ですが、必ずしも半分ずつではなく、2人の年齢・社会的地位・収入などをもとに決められます。

配偶者と離婚する場合

不倫が原因で離婚した後、求償権を行使されて、慰謝料の一部を元配偶者が支払うことになっても、生計をともにしなくなったのであれば、被害者側は金銭的な損はしないといえるので、求償権について気にすることはありません。

配偶者と離婚しない場合

一方、離婚せずに慰謝料は受け取りたいときは、不倫相手だけに請求しようと考えるのが一般的です。なぜなら、生計をともにしていると当然お金の出所が一緒のため、配偶者に慰謝料を請求することにあまり意味がないからです。しかし、不倫相手へ全額慰謝料を請求すると、求償権を行使したいと申し出てくる可能性が高いです。

求償権を放棄するデメリット

不倫相手に求償権の放棄を強要することはできませんが、支払うべき慰謝料を減額するのと引き換えに求償権を放棄してもらうよう、話し合いで決めることは可能です。ただし、不倫相手に求償権放棄の合意を取り付けるのは、以下のようなデメリットもあります。

・被害者・配偶者・不倫相手の3人での話し合いで示談する必要があるため、話し合いがこじれる可能性が高い
・求償権の放棄および慰謝料の減額を取り決めたにもかかわらず、配偶者の和解内容の取り違えや不倫相手に対する好意から、被害者へ相談することなく、不倫相手に金銭を支払ってしまう

これらのことを避けるためには、話し合いだけでなく、書面で和解内容を残しておくことが必要です。

求償権に関するトラブルを避けるには

求償権のトラブルを防ぐためにも、慰謝料の金額や求償権の放棄について取り決めるときは、証拠として残るよう和解書として書面にしておくことが大切です。和解書を作成するのは、支払い拒否のリスクを減らす・不倫の再発防止・再発したときの慰謝料の追加請求に利用する目的もあります。和解書を作成するときは、以下のことに注意して作成するとよいでしょう。

専門家に相談して作成

和解書を法的に効力があるものとして残したいのであれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談して作成しましょう。まず、インターネットの見本文などを参考に和解書を作成して、専門家に修正するところがあるか作成内容の確認を依頼するのもよいでしょう。費用はかかりますが、細かな言い回しが違うことで、書面の効力がなかったというトラブルを避けることができます。

和解書の作成を相手任せにしない

当事者3人のうち和解書を作るのはどなたでも問題ありませんが、和解書の作成の主導権を握ったほうが、自分の取り決めたい内容を書面に反映しやすくなるメリットがあります。一時的に時間と手間がかかりますが、和解書の作成は相手任せにしないほうがよいでしょう。

見本文をそのまま使わない

和解書の見本文がインターネットや書籍でも見ることができますが、不倫内容の詳細や和解で希望することはそれぞれ異なります。見本文を参考にするのは問題ありませんが、独自に追記したい条件などを綿密に書き出して作成することが必要です。

明確な表現で書く

和解書の内容は、どんな立場の人が読んでもひとつの解釈にしかならない文章で残しておくことが大切です。何通りの意味にも取れるような表現で書き残してしまうと、和解書の内容を取り違えられ、期待していた要求が通らないことにもなりかねません。専門家にも相談し、誰が読んでも意味がひとつだけのはっきりした表現で残しておきましょう。

まとめ

本記事では、慰謝料の支払い時にトラブルになりやすい求償権と、求償権の意味や求償権を放棄するデメリット、求償権に関するトラブルを避ける方法を解説しました。不倫の慰謝料が発生するときは求償権の取り扱いも重要になります。求償権についても当事者同士で話し合って取り決めておき、のちのトラブルを防ぐためにも和解書などの書面で明確に残しておくようにしましょう。

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