離婚調停で相手が弁護士を立てたら不利になる?弁護士から連絡がきた時の対応方法など
夫や妻との離婚調停を進める中で、相手が弁護士を立てるケースは珍しいことではありません。人によっては「自分にとって不利になる」と感じることもありますが、実際のところはどうなのでしょうか。今回は、離婚調停で相手が弁護士を立てると不利になるのか、弁護士から連絡が来た時の対応方法を解説します。悩んでいる人は参考にしてください。
相手が弁護士を立てたら不利になる?
結論から述べると相手が弁護士を立てたからといって、すぐに不利になるわけではありません。しかしデメリットはあります。すぐに不利にはならない理由と、生じるデメリットを紹介しましょう。
■離婚調停は当事者双方の合意が求められる
離婚調停は裁判ではありません。当事者双方による話し合いをベースとして、さらに双方が合意することで調停が成立します。そのため、相手が弁護士を立てたからといって、相手のいい分がすべて通るということはありません。
ただし、弁護士の説明やいい分に対して調停委員が同意して、あなたに合意を求めてくることは考えられます。しかしあくまでも合意であるため、内容に賛同できなければ合意をする必要はないのです。
■弁護士を立てられることで生じるデメリット
弁護士を立てられることですぐに不利になるわけではないものの、いくつかのデメリットは考えられます。
ひとつ目は調停委員の考えを推察されてしまうことです。調停委員は基本的に何を思っているのか、何を考えているのかを表に出しません。自分の考えを表情に出してしまうと、当事者から「わかっていない」などと反発を持たれる可能性があるためです。そのため本心を隠しながら仕事を進めています。しかし、弁護士は調停委員の気持ちや考えを察することを得意としているのです。調停員の内心を的確に推察しながら、状況が有利に働くように事を運ばれてしまう可能性があるでしょう。
2つ目は心理的なストレスが大きくなることです。弁護士を建てられると、人によっては「不利になってしまう」などと、心理的なストレスを感じるようになります。プレッシャーも大きくなり、本当は同意できないような内容であっても、つい合意してしまうかもしれません。
離婚調停に弁護士が必要になる場合
離婚調停において、弁護士は必ずしも必要ではありません。しかし、ケースによっては弁護士が必要となることもあるでしょう。主なケースは次の3つです。
■相手が離婚の申し出を拒否している場合
まずは、相手が離婚の申し出を拒否しているような場合です。何かしらの理由で相手がまったく離婚に応じようとしない場合、弁護士を立てることによって、話が有利に進む可能性が高まると考えられるでしょう。
上記の弁護士を立てられることで生じるデメリットでも述べたように、弁護士を付けられると心理的なストレスやプレッシャーが増大します。こちらに弁護士を付けることで相手に、離婚に対する真剣さを伝えられるようになるはずです。また弁護士による専門的な交渉によって、離婚の申し出を受けてもらえる可能性も高まります。
■相手と顔を合わせたくない場合
2つ目は、相手と直接顔を合わせたくない場合です。「離婚協議前に相手から暴力を受けて、トラウマになってしまった」「ストーカーのような気質を持っており、嫌がらせをしてくる」などのケースでは、直接相手と顔を合わせたくないと思うことも少なくありません。弁護士を立てることで、調停の窓口を任せられます。
■調停から裁判に発展する場合
調停で合意が取られなかった場合は離婚裁判に発展します。裁判では法律に沿った上で書類を提出したり、主張したりする必要があることから、専門家である弁護士のサポートは欠かせません。
相手方の弁護士から連絡が来た場合の対処方法
もし相手の弁護士から連絡が来た場合、どのように対処すればよいのでしょうか。突然の連絡に驚き、人によっては無視してしまうかもしれません。しかし、弁護士からの連絡を無視するのはNGです。調停で不利になる可能性も生じるので、無視しないようにしましょう。相手に弁護士が付いた場合、やり取りの窓口は基本的に弁護士となります。伝えたいことや話したいことがあれば、弁護士を通して訴えるようにしてください。
またやり取りは書面などの、文章が証拠として残るものを通して行いましょう。弁護士は基本的に頭の回転が速く、議論に慣れているものです。難しい法律用語などを使いながら、相手側に事が有利に働くように運んでいきます。書面でのやり取りなら冷静に内容を把握・理解して、こちら側からも主張をまとめて伝えられるようになるはずです。
離婚調停を進めていく中で、相手側が突然弁護士を立てたからといって、即座に不利になるようなことはありません。調停はあくまでも双方の合意が求められるためです。ただし調停員の内心を推察されてしまうこと、こちらに心理的なストレスが加わることはデメリットとして生じます。ケースによっては弁護士が必要となることもあるため、それぞれの状況に合わせて依頼するかどうかを判断するとよいでしょう。