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不妊が原因で離婚するのは難しい?慰謝料や離婚回避の方法をご紹介!

公開日:2022/12/01  


不妊は夫婦にとってデリケートな問題であり、場合によっては離婚の引き金となるケースもあります。不妊が原因で離婚できるのでしょうか。今回は不妊が原因で離婚を考えるケースや不妊を理由とした離婚が可能かどうか、その際の慰謝料の有無や不妊を原因とした離婚の回避法などについてまとめます。

不妊が原因で離婚を考えるケース

厚生労働省が出している「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」によれば、不妊を心配したことがある夫婦は全体の35.0%におよび、不妊の検査や治療を受けている夫婦は18.2%と5.5組に1組の割合に上っています。そう考えると、不妊は決して特殊なケースではなく、どの夫婦にも起こりうる問題であることがわかります。

不妊はとてもデリケートな問題であり、それが原因で夫婦の気持ちがすれ違うことも少なくありません。その結果、離婚にまで発展してしまうことがあるのです。それでは、どのようなケースが離婚問題に発展するのでしょうか。

1つ目の理由は夫が妊活に非協力的な場合です。夫が仕事の忙しさなどを理由に子作りを避けてしまったり、病院での検査に非協力的な態度を示したことで妻との関係がこじれることがあります。

2つ目の理由は妊活をめぐる意見の相違です。妊活とは妊娠活動の略語で、妊娠に関する知識を共有したり、妊娠に向けての環境を整備することです。本気で妊活をするのであれば、日々の生活を見直すことや日々の体調管理、排卵日を計算に入れた行動などが必要となります。こうした活動は夫婦の協力あってこそ成り立つものですので、妊活をめぐる意見や認識が異なれば、対立の原因となってもおかしくありません。

3つ目の理由は不妊の原因が明確に判明したときです。男性の精子が少ないケースや女性が不妊症であるケースは解決が難しく、そのことが原因で離婚に発展することもあります。

不妊を理由に離婚できるのか

不妊を理由に離婚できるのでしょうか。結論を先に言えば、双方が合意のうえで離婚する協議離婚は可能ですが、不妊だけを理由として一方的に離婚することはできません。民法第770条では、以下の内容に該当するときに離婚の訴えを提起できると記されています。

・配偶者に不貞な行為があったとき
・配偶者から悪意で遺棄されたとき
・配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

これらの条件を満たしていても、裁判所が婚姻継続が妥当とみなせば、婚姻関係は継続されるとありますので、不妊だけを理由に法的に離婚するのは困難といえるでしょう。ただし、不妊をきっかけとして不貞行為などが行われた場合は判断が異なることも十分想定できますので、一概に「離婚できない」と決めつけることはできません。

不妊で離婚する場合、慰謝料は発生するのか

不妊が原因で離婚する場合、慰謝料は発生するのでしょうか。これも結論を先に言えば、慰謝料は発生しにくいといえます。そもそも慰謝料とは、離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われるものです。たとえば、暴力を振るわれたり、どちらか一方に不貞行為があった場合であれば慰謝料が発生する可能性が高くなります。この場合、どちらかに責任がある(有責)とみなされ、損害賠償としての慰謝料が支払われます。

しかし、不妊の場合は不妊の事実が婚姻関係を破綻させたとまでは言い切れないため、不貞行為などと比べると慰謝料発生の確率は低いと考えられます。とはいえ、不妊によるすれ違いが原因で、どちらかが浮気をするなどの不貞行為を行えば、当然、法的な離婚事由に該当するため、慰謝料を請求される可能性が高まります。

不妊による離婚を回避する方法

不妊による離婚を回避するには、次のような方法が考えられます。

・不妊治療の継続
・里親制度や養子縁組制度の活用
・子どもを持たないという選択

1つ目の方法は夫婦でよく話し合い、不妊治療を継続するという選択肢です。ただ、この場合は常に夫婦で意思を確かめ合い、無理のない範囲で継続することが望ましいといえます。感情的なすれ違いが大きくなってしまった場合は、不妊治療以外の選択肢を視野に入れたほうがよいでしょう。

2つ目の方法は里親制度や養子縁組制度を活用することです。里親制度は、子どもを育てられない親に代わって、一時的に子どもを預かって養育する制度です。里親制度の場合は、養子と実親の関係は残ったままです。それに対し養子縁組は、養子と実親の法的関係を切り離し、養子と法的に親子関係を結ぶことです。完全に自分の子として育てたいのであれば「特定養子縁組」の手続きを実施し、法的に親子関係にします。

3つ目の方法は、子どもを持たないという選択をすることです。子どもを作ることや子どもにかかる分の経済的負担を止め、夫婦二人の時間を大切にするのも一つの方法といえるでしょう。

まとめ

今回は「不妊が原因で離婚するのは難しい?慰謝料や離婚回避の方法をご紹介!」と題して、不妊に関する事柄をまとめました。妊活は夫婦に大きな負担を強いるものであり、双方の意見がすれ違う可能性を秘めています。あまりに溝が深まれば離婚という結末を迎えるかもしれません。そうなるくらいであれば、養子や子どもを作らない選択も視野に入れたほうがよいかもしれません。

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