離婚時における家庭裁判所の「調査官調査」とは?何を重視している?
離婚を考えたときには、今まで利用したことがないものを利用する機会があります。離婚の際親権や慰謝料についてお互い納得がいかない場合は、家庭裁判所を利用することになります。その際に調査官、調査官調査という言葉を耳にします。今回は、調査官調査とはどのようなものなのかについて述べます。
家庭裁判所の調査官調査とは
調査官調査とはいったいどのようなものなのでしょうか?詳しく述べていきます。
そもそも調査官とは
調査官は、家庭裁判所が扱う事件で事実確認や環境調整をする職員のことを指します。離婚問題というと、法律や事実にのっとって厳しく見られるようなイメージがある方が多いのではないでしょうか。
しかし家庭裁判所の扱う内容は、家庭内の争いごとや、少年事件といった要件になっています。法律や常識だけでなく、性格や人間関係、環境などを配慮したうえで裁判をする必要があります。特殊性の高い事案に対応するため裁判官やほかの職員とは一線を画し、心理学や教育学など人間関係の知識やスキルが高い調査官という職業が重宝されます。
調査官調査は何をする?
離婚は子どもにとっても大きな出来事です。離婚調停などでは子どもの意見を反映させる、子どもの選択権を尊重するといった動きが強まってきています。離婚での調査官審査は子どもの意向、監護状況といったものが調査の対象になります。心理学や教育学を持った調査官が子どもに寄り添うことで子どもの内面にアプローチし、離婚における子どもの意見や状態を把握することが調査員の仕事になっています。
離婚時における調査官調査の流れ
調査はどのような時に行われるのでしょうか?流れについて述べます。
どんな時に調査が行われるのか
調査が行われるのは、離婚問題すべての時ではありません。未成年の子どもの親権問題を扱う場合が多いですが、必要性がある時に行われます。具体的には以下のような状況のときに行われています。
・裁判所が事実の調査として行う
・子どもが10歳以上で、子どもの真意を確認して親権をどちらにゆだねるか判断する必要がある場合
・親権争いが激しい、長期化しそうな場合
・親権をどちらにするのか裁判所が判断に迷う場合
どんなことを確認するのか
・親権者を誰にしたいか子ども本人の意向を確認する
・子どもの監護状況、生活状況がどのようなものか確認する
・夫婦が監護する様子、経済状況、健康状態などを確認する
上記のような内容について調査が行われます。夫婦、子ども、親族、幼稚園や学校などの教育機関などで行われます。
調査員調査で調査官が重宝される理由
調査官調査が裁判所に重宝される理由はどんなものがあるのでしょうか?詳しく述べます。
裁判官の判断の補充的役割があるから
なぜ調査が行われるかというと、裁判所が親権の判断をする情報が不充分なため情報を得たいからです。調査内容が理にかなっていない場合を除いて結果は重宝されます。
子どもの意見を確認できるから
親権をどちらにゆだねるかにおいて重要なのは、子どもの意向、福祉、住環境などです。子どもの真意を裁判官が見極めるのは難しいため、専門的な知識やスキルのある調査官が調査することによって子どもの真意を探ります。また、子どもだけでなく、子どもの通う学校や幼稚園、保育園などから情報を得ることができ、子どもの真意を知る情報が多いため、裁判官は調査の情報を重視しています。
調査官調査で不利な結果になったときの対処法
調査で自分に思わしくない結果が出た場合、何か手立てはあるのでしょうか?
調査について意見を述べる
調査にもし間違いがあれば、主張、立証する必要があります。しかし、調査はプロが行っているので、大きな間違いは起こりにくいです。新しい情報を出すなどしても大きく旗色を変えることは難しいでしょう。
離婚の条件を見直す
親権がとれなかったとしても、子どもと面会する際の条件を自分が希望する形に近づけるといった努力をできます。裁判所を介して面会交流の条件について決めることにより、しっかりルールをきめておくとよいでしょう。
ただし、自分が子どもにたくさん会いたいからといって、子どもの意見を無視した面会交流の条件を突きつけるのは得策ではありません。面会交流は、子どもの利益を最優先にして考えなければいけないものだということを忘れないように心がけましょう。
まとめ
離婚においてストレスを感じるのは、当事者の夫と妻だけではありません。子どもにも多大なストレスがかかってしまいます。子どもになるべく悪い影響を与えず離婚するには、親権をどちらが持つのか、養育費はどうするのか、住環境や学校の変更が必要になるのかなど考えることがたくさんあります。
自分が親権を持ちたいと考えるなら、離婚の話を出す前に自分が親権をゆだねられるような立ち位置にいるか把握する必要があるでしょう。親権を持てる見込みがないのに離婚調停になっても、調査員調査で親権をゆだねるべきはどちらか判断されてしまいます。親権獲得を目指すのであれば、離婚前からしっかりした行動が必要です。どう行動したらよいのか分からない場合は、法律相談所に相談してみるのがよいでしょう。