国際離婚をするときの必要な手続きとは?気をつけるポイントを確認!
国際結婚した夫婦のうち、約半数が離婚しています。日本人同士の離婚は3組に1人といわれており、国際結婚の離婚率は高いことがわかります。今、国際離婚はめずらしいことではありません。しかし、日本人同士の離婚よりも手続きが複雑になることがあります。今回は、国際離婚するときに気をつけるポイントと必要な手続きについて解説します。
国際離婚で適用される法律
そもそも国際離婚の場合、夫婦の一方が外国人になるため、どこの国の法律に従って判断されるのかが重要な問題となります。どこの国の法律で離婚を判断するかという問題を、準拠法の問題と言います。
日本では、夫婦の本国法が同一であるときはその本国法と定めています。夫婦の本国法が同一でないときは、夫婦の常居住地の法律になります。つまり婚姻生活を送っている国、日本に住んでいれば日本の法律で判断されます。共通の常居住地法もないときは、夫婦と密接な関係にある地の法律です。つまり、住んでいる、働いているなどの生活基盤が日本である必要があります。
最後に夫婦の一方が日本に常に居住する日本人であるときは、日本法と定めています。夫婦の国籍や居住地によって、離婚の条件や手続きが違うため必ず確認しましょう。たとえばフィリピンでは離婚自体できません。逆に、片方の意思表示のみで離婚できてしまう国もあります。準拠法がどこの国になるかは、重要な問題なのです。
しかし海外の法律を使って日本で裁判を行う場合、日本の道徳理念に反すると裁判所が判断したときは、その法律は排除できます。たとえば「片方の意思表示のみで離婚できる」という法律が日本の公序に反すると判断されれば、日本法を適用し「離婚の無効」と判決がでます。
国際離婚をするときの必要な手続き
海外に住んでいるとき
海外に住んでいる場合は、その国の法律によって判断されます。夫婦で相手の国に住んでいれば相手の国の法律です。夫婦が夫婦の母国以外に住んでいる時は住んでいる国の法律、日本人が日本に住み外国人が日本以外の国に住んでいるときは日本の法律となります。離婚手続きは国によって異なります。
たとえばお互いの合意があっても、裁判で認められないと離婚できないという国もあります。裁判離婚する場合は、弁護士や在日大使館などに相談しましょう。相手の国での離婚が成立したら、その証明書類とその翻訳を日本の本籍地のある区役所に提出すれば日本でも離婚が成立します。
日本に住んでいるとき
日本に住んでいて、お互いの合意がある場合は、日本の役所に離婚届を提出すれば離婚できます。合意が得られない場合は、調停離婚、審判離婚、裁判離婚へと進みます。また、慰謝料、財産分与、親権はきちんと決めて離婚しましょう。離婚後、配偶者が母国に帰ってしまい金銭が支払われないというケースもあります。海外まで何度も請求するのは大変ですし、二度と支払われない可能性もあります。弁護士に依頼し、一括で支払ってもらえるよう交渉しましょう。
国際離婚をするときに気をつけるポイント
どちらかの国だけで手続きすればよいのか
日本で離婚が成立したからといって、自動的に相手の国でも離婚が効力をしめすわけではありません。相手の国や在日大使館で、日本での離婚届受理証明書などの書類を提出し申請する必要があります。むずかしいのは、離婚を成立させるには裁判で認められなければならない場合です。協議離婚が可能な状態でも日本で裁判をして判決文を用意する、または相手の国の裁判所で手続きを踏まなければならない場合もあります。
日本での離婚を海外でも効果を生じさせるために、どのような手続きが必要かは各国の制度によって違います。在日大使館に問い合わせてみましょう。手続きを忘れてしまい帰国すると、再婚できない可能性があります。その時に再度手続きをするのは大変です。必ず忘れずに確認しておきましょう。
慰謝料について
日本では相手の不倫が原因で離婚にいたった場合、慰謝料を請求するケースが多くあります。しかし、海外では不倫による慰謝料がスタンダードではない場合もあります。文化や法律が異なるため、慰謝料については弁護士の相談するのがよいでしょう。
子どもについて
親権については、ほとんどの場合は子どもの本国法で決まります。両親と子どもの国籍が違う場合は、子どもが普段暮らしている国の法律で決めることになります。日本では単独親権となっていますが、海外では共同親権の方が主流です。海外では、子どもの立場を尊重するという見地から法がつくられています。
そのため、たとえ親権がとれても、子どもが日本国籍を持っていても、日本へ連れて帰れないという判決がでることがあります。養育費については、そもそも養育費を決めていないと離婚ができない国もあります。共同親権となれば、離婚後もともに子育てをするパートナーです。離婚後のトラブルにならないように、養育費について決めておきましょう。
在留ビザについて
婚姻により、相手がビザを取得していた場合は、離婚によって在留ビザを失う可能性があります。離婚後も、日本に住むのであれば、在留資格の変更手続きが必要です。ビザを失いたくないために失踪し、離婚が進まないケースもあります。離婚後のビザについて事前に調べておき、配偶者ときちんと話し合いましょう。
まとめ
離婚に関する法律は、それぞれの国で違います。どの国の法律にもとづき離婚をするかが重要です。子どもがいる場合は、親権や養育費、子どもの国籍など問題は離婚後も続きます。共同親権となれば、相手とずっと連絡をとりあうことになります。離婚時のトラブルを防ぐために、結婚前に弁護士立ち合いのもとで、結婚前の同意書をつくっておくのもよい方法です。国際離婚は法律や手続きが複雑になるため、国際離婚に注力している弁護士に依頼しましょう。正しく手続きをし、自身の望む条件で離婚を成立させ、後悔のないよう終わらせましょう。