養育費の支払いが厳しい!養育費の減額は可能なの?
減給や再婚など、状況が変化しても養育費は支払いを待ってくれません。子どものことを大切に思っているけれど、毎月の支払いが厳しいと頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。養育費は義務なので無くすことは難しいです。しかし、減額は可能です。この記事では養育費を減額できる条件や、家庭裁判所による調停や審判について紹介します。
そもそも養育費の減額は可能なのか
養育費の金額は、「子どもの人数」「年齢」「元夫婦の年収」により決まります。支払う側の生活状況に変化があった場合、親権者の合意があればいつでも減額できます。「減額できる」と聞いて、安心した人も多いのではないでしょうか。しかし、養育費の減額にはそれに見合った条件が必要です。親権者が納得してくれるためにも、まずは自分がいずれかに該当するかチェックし、明確な理由を準備しておきましょう。
■支払う側の収入が減少した
養育費は子どもが成人するまで支払う義務があります。しかし、支払う側の勤務先の業績悪化により収入が減収してしまった、ケガや病気で働けなくなったなどの理由があった場合、現時点での収入に応じた減額、支払い義務をなくす請求も状況により可能です。
■支払う側が再婚し扶養家族ができた
支払う側が再婚し、扶養家族ができると養育費の支払いがさらに厳しくなります。そのため、経済的な負担を配慮した養育費の減額を求めることが可能です。ただし、元の家族の養育費を支払う義務がなくなるわけではありません。「再婚相手との間に子どもができた」「再婚相手に子どもがいて、養子縁組を結んだ」「再婚相手の収入が少ない」という場合、元配偶者との間にできた子どもへの養育費を減額できる可能性があります。
■受け取る側の収入が増加した
受け取る側が昇進したり、起業したり、収入が増加した場合、減額できる可能性があります。しかし、離婚協議中に「将来的に収入が見込めることを前提にしたうえでの養育費」だった場合は、減額は難しいようです。また、受け取る側の収入が増えたとしても、子どもの教育費・医療費・生活費は変わりません。受け取る側の生活状況を考慮した結果、減額が成立しないこともあるので注意しましょう。
■受け取る側が再婚した
受け取る側が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組を結んだ場合、子どもの扶養義務は再婚相手に移ります。そのため、再婚相手の年収に応じた減額や支払いが免除されることもあります。ただし、再婚相手が働けないなど扶養が難しい場合や、子どもと養子縁組をしていない場合は養育費の減額は認められません。
話し合いで平和的に解決!
養育費の支払いが厳しいと感じたら、まずは親権者に連絡をとり、当事者同士で話し合いましょう。話し合いをするときは、減額してほしい理由をしっかり伝え、悪い印象を与える言動は避けるべきです。まずは話し合いで平和的に解決を目指しましょう。もし相手の合意が得らなかったからといって、肩を落とす必要はありません。
たとえ、裁判所の手続きなどで取り決められた養育費であっても、家庭裁判所に「調停」や「審判」を申し立てることで減額を求めることができます。調停とは、第三者を交えた話し合いです。どのような流れで行われるのか、また、申し立てに必要な費用や書類について紹介します。
■調停の流れ
調停を申し立てる裁判所は、相手方の住居地を管轄している区域の家庭裁判所、もしくは当事者が合意で定める家庭裁判所です。調停は、調停委員会(裁判官1名と民間から選ばれた調停委員2名以上)で構成され、話を聞いてもらえます。「元配偶者に会いたくない」という人も安心してください。話しやすいように双方、個別で話を聞いてもらうことや、弁護士事務所から電話での参加など、状況を考慮した話し合いができるようです。
「他人にあまり知られたくない」と不安に思う人もいるかもしれません。しかし、養育費の減額を認めてもらうためにも、第三者による冷静な意見は必要です。調停では、当事者同士では考えられなかった解決案や解決のための助言がもらえ、合意を目指した話し合いがのぞめます。気負わず、落ち着いて話し合いましょう。
■調停申し立てに必要な費用
・収入印紙(子ども1人あたり1,200円分)
・連絡用の郵便切手(申し立てする家庭裁判所より異なるため要確認)
■調停申し立てに必要な書類
・「養育費調停申立書」およびその写し1通
・標準的な申立添付書類(対象となる子どもの戸籍謄本)
・申立人の収入に関する資料(源泉徴収票写し、給料明細写し、確定申告書写し、非課税証明書写しなど)
※審理のために必要な場合は追加書類の提出をお願いされることもあるようです。
話し合いができないときは家庭裁判所で解決!
調停による話し合いで解決できないときは、自動的に審判手続きに移行します。審判は、調停で話し合われた双方の言い分や資料を検討したうえで、養育費を減額できるか裁判官が判断します。もし、審判結果に不服があった場合「告知を受けた日の翌日から2週間以内」に「即時抗告」の申し立てをすれば、最高裁判所で争うことができます。
審判後に気をつけるポイントは、減額された支払いを必ず守ることです。確定した裁判による当事者は法的な支払い義務を負います。親権者は裁判所による「履行勧告」や地方裁判所による「強制執行」で資産を差し押さえることができます。養育費が減額できたあとは、必ず決められた養育費を支払っていきましょう。
まとめ
養育費の減額について申し立ての条件や、家庭裁判所による調停・審判について紹介してきました。「減額をしたいけど、親権者が合意してくれると思えない」など、双方だけの話し合いによる解決がまったく見通せないという人も心配ありません。東京には、離婚問題に強い弁護士が数多く在籍しています。調停を申し立てる前にまずは相談することをおすすめします。